公開:2026.04.28

【家計管理】長期休暇の旅行費用は「使う貯金」で用意し、賢く節約 (風呂内亜矢氏)

チャット風吹き出し最終決定版(中央寄せ修正版)

ベテランFPや経済の専門家が、FPに関わるさまざまなテーマやトピックスについて、全6回にわたり解説します。

風呂内 亜矢氏

今回の「家計管理」では、大型連休や長期休暇の旅行・レジャー費の準備のしかたと、支出を抑えるお得ワザなどを紹介します。

旅行後に貯金が減ってしまって罪悪感……

ゴールデンウィークには、連休を利用して旅行やレジャーに出かける人も多いでしょう。慌ただしい日常から離れて余暇を楽しむのは素敵なことですが、家計的にはまとまったお金が出ていきやすいときでもあります。旅行に行くとなると、行き先や期間によっては数十万円もの大きなダメージが家計にのしかかります。旅行を楽しんだ後に「頑張って貯めてきた貯蓄が減ってしまった……」と後悔や罪悪感を抱いてしまう人もいます

一方で「30万~40万円ぐらいお金が貯まると旅行に行きたくなる」タイプの人もいます。「貯まったら旅行に行く」を繰り返していて、結果として貯蓄がなかなか増えないパターンもあります。もともと貯蓄が少ないのに「また来月から貯めればいいや」と旅行を強行し、残高を使い果たしてしまう人もいます。そうなると、いつまでも家計が不安定な状態が続いてしまいます。

年間を通してみると、ゴールデンウィークの後には夏の長期休暇や年末年始休暇もあります。せっかくの休暇を心から楽しむためにも、家計の安定のためにも、旅行費用は計画的に準備しておくと安心です。ポイントは1年間で旅行に「使う貯金」と、それ以外の「使わない貯金」を分けて貯めることです

旅行・レジャー費用は「使う貯金」で貯める

旅行費用の準備は、1年の費用から予算を立て、計画的に積み立てておくのがおすすめです

例えば、ゴールデンウィークの日帰り旅行で5万円、夏休みの家族旅行で25万円、年末年始の帰省で10万円というケースを例にしてみます。これを月々だけで準備する場合、40万円÷12カ月=月々約3万4,000円を積み立てることになります。月々とボーナスで準備するなら、月1万~2万円×12カ月と、残りを年2回のボーナスで用意する計算です。ボーナスだけであれば、年2回のボーナス時に20万円ずつ用意することになります。

この分は「使う貯金」として、教育資金や老後資金といった長期に「使わない貯金」とは分けて確保しておきましょう

参考までに、観光庁の旅行支出データを挙げておきます。2025年の日本人の国内旅行1人1回当たりの旅行支出(旅行単価)は、4万8,359円です。宿泊旅行では7万2,273円、日帰り旅行では1万9,982円となっています(図表1)。昨今の物価高を反映し、旅行費用も上昇傾向が続いています。また別の民間の調査によると、2025年の日本人の海外旅行の1人当たりの旅行費用は、33万4,100円となっています。

※JTB「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」(推計値)

日本人国内旅行1人1回当たり旅行支出(旅行単価)

単位:円/人

国内旅行全体宿泊旅行日帰り旅行
旅行単価前年比旅行単価前年比旅行単価前年比
2021年34,221+0.7%49,270+1.9%17,348+4.5%
2022年41,069+20.0%59,042+19.8%18,532+6.8%
2023年44,034+7.2%63,253+7.1%19,027+2.7%
2024年46,585+5.8%69,362+9.7%19,533+2.7%
2025年
(速報値)
48,359+3.8%72,273+4.2%19,982+2.3%
出所:国土交通省観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年10-12月期(1次速報)を基に日本FP協会作成

資金準備では「旅行積立」も1つの選択肢

旅行資金の貯め方では、前回コラムで触れた「先取り貯蓄」と同様に、なるべく手間をかけずに自動的に貯められるものが最適です。旅行用の口座を作り、定額自動入金サービスで積み立てていくのもいいでしょう。

「お得に旅行資金を貯めたい」という観点でいえば、積立額にプレミアムがつく「旅行積立」を活用するのも一案です。旅行積立は、旅行会社や航空会社に月々一定額の資金を積み立て、満期時にサービス額が上乗せされた旅行券や商品券を受け取るサービスです。月々5,000円など少額から積み立てることができ、積立期間は6~60回など。毎月払いのほかボーナス時などに一括払いができる商品もあります。満期時のサービス額は商品や条件によって異なりますが、年利換算1〜3%と高めで、「3年後に予算80万円でハワイ旅行」など、目標に向けた計画的な旅行資金準備ができます。 

ただし、注意点もあります。積み立てた資金は現金には換金できず、中途解約では損になることもあります。また満期に得られる旅行券は、指定の旅行会社や航空会社でしか利用できません。最近の金利上昇によって、旅行積立で得られるプレミアムの魅力がやや薄れている面もあります。自分にとって使いやすいかをよく確認したうえで、利用してください。

旅行費の「交通費」「宿泊費」を抑える工夫

旅行にかかる費用を抑える工夫にも、さまざまな方法があります。私自身も仕事やプライベートで国内・海外を問わず旅行によく出かけますが、その際に活用している交通費・宿泊費の節約方法をいくつか紹介します。

・航空券代は「タイムセール」がねらい目
JAL、ANAといった大手航空会社では、数カ月単位で季節ごとにキャンペーンを展開しています。国内旅行でも、普段は 片道2万~ 3万円かかる経路を 8,000円前後で移動できることもあります。旅行によく出かける人は各社のサイトやSNSをこまめにチェックし、キャンペーンやタイムセールを活用すると航空券代を圧縮できます。

・新幹線代は割引切符を活用
新幹線代の節約では、JR東日本やJR東海などの割引切符があります。列車、席数、区間限定の割引切符で、乗車券+指定席特急券が5~30%などの割引になるものもあります。ただし競争率が高く、受付開始直後に申し込まないと割引率が高い切符はなかなか取れないという点に注意が必要です。

・3泊以上なら「レジデンスホテル」もチェック
宿泊費では、コスパがよいのが「レジデンスホテル」です。レジデンスホテルは、一般的なホテルと長期滞在用の賃貸物件の中間のような宿泊施設です。広い室内やキッチン・洗濯機など、生活のための設備が付属しているのが特徴で、リネン類の交換や室内清掃といったサービスは最小限ですが、その分、宿泊料は低く抑えられています。

私は昨年、京都のレジデンスホテルに大人2人で2週間滞在しました。ワンルーム(27㎡)・ミニキッチン付き・バストイレ別で、1泊当たりの室料が約1万7,000円(1人当たり約8,500円)で、繁忙期の京都としては相当にリーズナブルでした。国内でも海外でも、同じ場所で3泊以上するようであれば、レジデンスタイプのホテルも検討してみてください。

お得にとらわれ過ぎず、旅行を楽しんで!

実際、旅行に関する節約ワザ・お得ワザは無数にあります。有名なところでは、航空会社のマイレージサービスでマイルをため、航空券などに活用している人もいるでしょう。私もこの3、4年ほど、マイルでの航空券取得を試していますが、還元率が高いチケットを活用するための条件は多く、万人向けの方法とは言いにくいと感じています。マイル活用にこだわりすぎて「マイルで旅行に行くことこそ賢い選択肢だ」と思ってしまい、そうではない旅程を損だと感じてしまうのは、レジャーの本質から離れる気がします

ここまでご紹介したようなお得なワザは、活用できればうれしいですが、「お得」の価値はそのときどきで異なります。

旅行日程では、割安な時期も含めて自由に日程を組める人もいれば、カレンダーどおりの繁忙期しか旅程をとれない人もいます。チケットの取得でも、早く予約をすれば価格は下がる一方、キャンセルは不可など、いろいろな要素の掛け合わせで値段が決まります。ギリギリになって休暇がとれて旅行に行った人は、費用は高くなったとしても、直前まで選択の自由を持っていたという恩恵を受けているわけで、「こうしていればもっとお得だったのに」と悔しがる必要はないのです。

旅行の目的は、お得を最大化することではなく、リラックスして心から楽しむことです。そのときの自分にとって納得のできるサービスを賢く選び、旅行を満喫してほしいと思います。

(取材:日本FP協会 編集出版部)

次回の【家計管理】分野は、新生活こそ、キャッシュレス決済を活用!について解説します。
アコーディオン目次

お話を伺った方

CFP®認定者

風呂内 亜矢 氏

独身時代にマンションを衝動買いしたことをきっかけに貯蓄、資産運用をスタート。現在は株式、投資信託などでの運用のほか、夫婦で複数のマンションを保有し賃料収入も得ている。テレビ、新聞、雑誌での解説のほか、『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。』(Gakken)などお金に関する著書・監修書は約30冊。YouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」では、日常の記録に交えてお金にまつわるTipsを発信している。

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