公開:2026.06.05

【方向性まとまる】給付付き税額控除、そのねらいとは?【トレンド+plus】

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例示で解説!給付付き税額控除の仕組み

5月27日の社会保障国民会議で、「給付付き税額控除」の政府原案が示されました。まだ、金額などの数字の部分は未定ですが、本記事では「例えば」という仮設値を置いて「給付付き税額控除」について、わかりやすく解説していきたいと思います。

※以降、給付付き税額控除に関する金額や支給に係るボーダーライン等の数値はすべて解説のための例示になります。

仮に、1人5万円の所得税減税が行われるとしましょう。通常、定額の所得税減税は、勤労者が自分の納付している所得税の中から5万円を受け取ります。この場合、所得税の納付額が3万円の勤労者は、納付している所得税分である3万円しかもらえません。
一方、給付付き税額控除は、支払っている所得税の範囲内を超えて、一律5万円がもらえます。つまり、所得税の納付額が3万円の勤労者は、差額の2万円分を給付されます。これが「給付付き」の税額控除=減税と呼ばれる理由なのです。

政府はこの給付付き税額控除の実現に向けて動こうとしていますが、そこに1つの課題が突き付けられました。
企業が所得税を計算して、5万円に満たない金額を政府に報告して、さらに給付額を受け取るのは事務負担が大きすぎるという課題です。この課題は、2024年に実施された定額減税4万円(国税3万円+地方税1万円)のときにのしかかった事務負担が大きかったことに起因しているのでしょう。

そこで、今回実施に向けて動き出す「給付付き税額控除」について、政府の原案では「税額控除」の方はやらずに、給付に一本化するとされました。減税額が3万円で給付金2万円だった人には、減税をせずに給付金5万円を支払う、という方針です。政府が、「今回は中小企業には事務負担のご迷惑はかけません」という判断をした形です。ただ、こうなると通常の「給付付き税額控除」ではなく、単なる給付金になってしまうという意見もあります。

給付付き税額控除が勤労促進につながる?

ここで、そもそもなぜ給付付き税額控除を実施するのかという政府のねらいに立ち返ってみると、勤労促進が掲げられています。
「年収の壁」を超えてより多く働く人に給付金を上積みして、人口減少の下での人手不足に対応しようとしているようです。

例えば、「年収の壁」を年収160万円とすると、何らかの勤労所得が0~160万円の人には5万円を渡し、その人が所得税を支払い始めると、10万円を給付するといった形で、手取りを増やし、働き控えを解消するという流れです。

政府の原案では、「年収の壁を超えた方向けに一定の支援額を上乗せ」と書かれています。少し複雑ですが、今回の例に当てはめると、年収160万円を超えて、例えば年収350万円までの範囲は、一律10万円の支給とし、より多く就労してくださいという動機付けをはかるという訳です。
そして、350万円以上の年収の人は所得水準を増やすほどに給付金を今度は10万円から0に漸減させていきます。例えば年収500万円になると、それ以上の中堅・高所得層には、就労の動機付けのための給付金は不必要という判断になる、といった格好です。

今まで、「扶養控除の壁」、「配偶者控除の壁」、「社会保険料の壁」など様々な「壁」がありました。今回、非課税ラインを超えると、一気に5万円から10万円(金額は例示)のように給付金が多くもらえるような仕組みをとることで、その上増し分が報奨金のようなかたちで扶養控除や配偶者控除のメリットを上回る動機付けになり、より多くの人の就労を促進させると推測できます。

こうして労働力不足を解消することが、給付付き税額控除を推し進める政府の真のねらいだと考えると、たとえ単なる給付金のようになったとしても本来のねらいは達成できるといえるのではないでしょうか。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

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