公開:2026.06.09

【2026年6月改正】改正保険業法は顧客から見て何が変わる?

保険業法改正の背景と目的

2026年6月1日に改正保険業法が施行されました。保険金不正請求問題や、損害保険会社間での保険料カルテル問題など、近年発覚した大きな問題が法改正の引き金になったと見られます。

従来の保険業法では代理店の規模を問わず最小限の体制整備義務しか課されておらず、苦情処理や内部通報の仕組みが機能しにくい環境にありました。

また、保険会社から代理店への便宜供与と引き換えに特定商品を優先的に推奨する慣行や、便宜供与・政策保有株式など保険以外の要素で契約シェアが決まる不健全な競争環境も、問題視されていました。

顧客から見た法改正の影響

改正法では「顧客本位の業務運営の徹底」と「健全な競争環境の実現」を目的に、規制が強化されました。そのポイントは以下の図表の通りです。

図表 改正保険業法のポイント

変更点内容
保険会社等に対する体制整備義務の強化兼業代理店の取引により保険会社の顧客の利益が不当に害されないよう、業務の適切な管理その他の必要な体制整備を義務付け
大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化一定規模以上の乗合損害保険代理店に対し、営業所ごとの法令等遵守責任者の配置や苦情処理体制の整備を義務付け
保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止対象の拡大契約者本人だけでなく、グループ企業など「密接な関係を有する者」への便宜供与も禁止対象に加わる
出所:金融庁「保険業法の一部を改正する法律案 説明資料」2025年3月 を基に日本FP協会作成

大規模保険代理店の体制整備強化や、保険会社などに対して保険代理店の管理体制強化が義務付けられたことで、トラブル時の苦情対応や内部通報が制度的に担保され、消費者保護が強化されます。

さらに、過度な便宜供与が禁止されることで、保険会社と代理店・企業グループ間の不透明な利害関係が是正され、保険料の適正化やサービス品質の向上にも期待できるでしょう。

一方、かねて問題視されている乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保※1や、特定契約比率規制※2については、今回の改正では見送られることになりました。これらが明文化されると、顧客本位の業務運営体制がさらに整備される一方、保険販売の実務には大きな影響が出ると考えられます。今後の動向を注視しておく必要がありそうです。

※1 顧客の意向に関わらず「代理店推奨」という理由だけで特定商品を提案する「ハ方式」の廃止、顧客の要望に沿って複数の商品を比較し、その根拠(保険料、補償内容等)を提示する「ロ方式」への一本化などが含まれる
※2人的・資本的に密接な関係にある者の保険契約を多く扱い、実質的な保険料割引や手数料の不正受け取りを防ぐための規制

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