公開:2026.05.15

【相続登記が義務化】住所や氏名の変更登記を怠った場合の過料はいくら?

実家や土地を相続したものの、活用する予定がなく「とりあえずそのままにしている」という方はいませんか? 近年、社会問題となっているのが、持ち主がわからない「所有者不明土地」の増加です。公共事業の妨げや近隣の環境悪化といったさまざまな弊害を生み出しており、これらの事態を防ぎ、不動産の利用を円滑にするための新たなルールとして、不動産登記などの制度が大きく見直されました。

2024年(令和6年)4月からは「相続登記の義務化」が始まっています。不動産の名義変更は、これまで任意の手続きであり、期限も設けられていませんでしたが、法改正により、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請をする必要があります。

この義務化のポイントは、制度開始より前に相続して放置している不動産にも適用される点です。心当たりがある方は、原則として2027年(令和9年)3月末までに手続きを済ませなければなりません。さらに、相続登記だけでなく、引っ越しや結婚などで不動産所有者の情報が変わった場合の手続きについても、新たなルールが設けられました(図表1)。

【図表1】不動産登記に関する主な義務化のポイント

出所:法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」を基に日本FP協会作成

ここでクイズ

相続登記の義務化について、正当な理由なく申請を怠った場合、科される可能性がある過料の上限額は10万円です。では、住所等の変更申請登記を怠った場合の過料の上限額はいくら?

A. ①5万円

解説

相続登記の申請を正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。一方、住所や氏名の変更登記の義務に違反した場合は、「5万円以下の過料」の適用対象となります(図表2)。過料とは、行政上の義務違反に対して金銭を徴収されるペナルティのことです。

【図表2】登記申請を怠った場合の過料(上限額)

出所:政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始!」を基に日本FP協会作成

図表1でも触れましたが、2026年(令和8年)4月1日からは、所有者の氏名や住所を変更した日から2年以内に住所等変更登記の申請を行う必要があるという新ルールもスタートしました。こちらも相続登記と同様に、制度が始まる前に住所や氏名を変更していたケースであっても、原則として2028年(令和10年)3月末までに変更登記を済ませなければなりません。

過料を避けるためだけでなく、不動産の登記を最新の状態に保つこと自体が、資産管理の基本といえるでしょう。長期間放置してしまうと、さらに次の世代で相続が発生して権利関係が複雑になり、戸籍謄本などの必要書類を集めるだけでも多大な費用や手間がかかってしまうケースが少なくありません。

もしも「遺産分割協議がまとまらない」「相続人が多すぎて書類の収集に時間がかかる」といった事情で、3年という期限内の手続きがどうしても難しい場合には、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで一時的に義務を果たしたとみなされる「相続人申告登記」という制度も新設されています。

また、相続した土地の使い道がなく処分に困っている場合には、一定の要件を満たせば不要な土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」も利用可能になりました。さらに2026年からは、事前に法務局へ申し出をしておくことで、住基ネットの情報を活用して登記官が職権で住所変更登記を行ってくれる「スマート変更登記(検索用情報の申出を前提とする仕組み)」も導入されており、所有者の負担を減らすための仕組みが次々と整えられています。

ご自身やご家族が所有する不動産について、名義が亡くなった方のままになっていないか、あるいは昔の住所のまま放置されていないか、この機会にぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか。早めの対応が、将来のトラブルを防ぎ、大切な資産と家族を守ることにつながります。

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