公開:2025.12.04

更新:2025.12.15

【独立・起業】本当に「覚悟」はありますか?(中野克彦氏)

チャット風吹き出し最終決定版(中央寄せ修正版)

ベテランFPや経済の専門家が、FPに関わるさまざまなテーマやトピックスについて、全6回にわたり解説します。

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中野克彦氏

「独立・起業」の第1回は、独立を考える前に確認しておきたいこと、今後掲載する内容についての大まかな流れを解説します。独立・起業に役立つ生成AI用プロンプト付きです。

「覚悟」は本当にできていますか?

私はFPの独立や起業をテーマにしたセミナーや講義も多く行っています。そこでは様々な独立希望者の声を聞く機会があります。多くの人は会社員を辞め、FPとして頑張っていくことを目指していますが、「覚悟」がやや弱い印象を受けます。例えば、事務所を用意することや、どう集客すればいいのかばかりに意識が向いていて、それらの質問を多く受けます。正直なところ、「事務所をどうするか」はさほど重要ではありません。それよりも、「独立後の大変なことをどこまでイメージできているのか」を問いたい。お客さまが数カ月ゼロだった場合、どうするのか。どこまで頑張れるのか。

私のいう「覚悟」とは、厳しい想定で未来を予測してみて、独立するとはどういうことなのかを改めて問い、それでも進むことができるのかの意志の強さです。

集客しても集まらないし、お客さまの相談も来ないし、なんの仕事の依頼も来ない。その状態で1カ月頑張れるのか、半年頑張れるのか、1年頑張れるのか。そしてその「頑張る」ことの内容を具体的に箇条書きにしたときに、いくつ書き出すことができるか。きちんと意識化ができているか、言語化できているかという点を、FPとして独立するにあたっての「覚悟」として問いたいと思います。

しかし、実際に独立希望者に話を聞くと、その計画は「希望的観測」に偏り、「具体性」を欠いている場合が多いのです。「どんなお客さまが」「どのような相談を」「どのような形で求めているのか」というイメージがまったく描けていません。この先独立して頑張って事業を成功させていくうえで、この「具体性」を徹底的に明確にしていくことが不可欠です。そうすることで独立の現実的な厳しさが見えてくるはずです。

「自分」「仕事」「お金」3つのバランス

ここで、これからの6回の連載の全体のイメージと予定を挙げておきます。私は先に挙げた「覚悟」を常に中心に置き、その周辺で「自分」「仕事」「お金」という3つの要素を固め、そのバランスを常に図っていくことが重要だと思っています(図表)。

 

自分が揺らいだとき、仕事が行き詰まったとき、あるいは資金繰りが苦しくなったとき、立ち返るのが「覚悟」です。覚悟をコアに置き、どのバランスが悪いのかを時には振り返り、そこを強化する、覚悟を改めて問い直すといった作業を繰り返していく。それによって確固としたビジネスを築き上げられるのではないでしょうか。

まずは、「自分」についてです。自分自身を明確にすることは重要な作業です。まず、自分の棚卸しをして自分を知ることから始めましょう。そのポイントは3点あります。「知識」「スキル」「経験値」です。自分に何ができて、何ができないのか、苦手なことも棚卸しして、把握します。自分の能力値をより明確にしていく作業です。その作業を頭の中だけで終わらせてしまう人がとても多いのですが、言語化をして、それを書き留めてみることが大切です。

私は、「スキルは身に付けていくもの」だと考えています。例えば「上手な説明」とは何なのかを把握したうえで、それが必要なスキルだと思うなら、身に付けておくべきスキルの1つになります。

ただ、独立するまでに身に付けなければいけないスキルと、独立した後もライフワーク的に取り組みを続けるべきことがあります。この「知識」「スキル」「経験値」という視点で考えた「自分」についての詳細は、第2回、第3回で取り上げる予定です。

本来、ビジネスでは強い点を伸ばすことが重要ですが、起業時は必要な知識すらない、あるいは不足している場合があるので、まずは自分のどこが弱いのか、弱点補強を意識します。ある程度カバーできるようになってから、強みを伸ばしていく。それぞれどう強化していくかは、2回目以降に詳しく触れることにします。

厳しいようですが、6分野すべてカバーできるのがFPです。そんなイメージで考えると、自分にこれから必要なものは何かが見えてくるでしょう。それに怯むようでは、「覚悟」が足りないのではないでしょうか。まずは覚悟を。そしてその中身を、具体化、言語化することに努めてください。

目標値を定めよう

「仕事」は具体的に何をして、どう稼ぐのかという点に尽きます。「どんな人に向けて、どんな内容の仕事で、どこで稼ぐか」というイメージが出てこないなら、まだまだ具体化が足りないといえます。

FPは6課目全部できてスタート地点といえます。複数の分野を接着剤のように1つのものに仕上げていくのがFPで、6課目の全部の知識を組み合わせて何を作るか、ということだと思います。それがスタートであり、「仕事」の部分に当たります。

よく「ターゲットを絞る」といいますが、それは住宅ローンの相談だけに絞るという意味ではありません。6課目をすべて組み合わせて何を作り上げるのか。そこに自分のビジネスの個性が出てきて、差別化ができるのです。

一方で、独立したてのFPには、例えるなら「何でもレストラン」に走ろうとする傾向があります。よりどりみどり選べるほうがいいからと、ビジネスもその方向へ向かってしまう。「どんな相談にも乗ります=うなぎも出せます、そばも出せます」という姿勢は、ややもするとお客さまに「結局、この人は何が専門なんだろうか。何の相談もできない人ではないか」と思われがちです。今の時代、本当に味わいたい料理は専門店に行きます。何でもあるけど個性がない店は選ばれません。FPビジネスも6課目すべて網羅しているにしても、「具体性」が足りなければそれと同じです。

スキルを持ち、お客さまに自分の存在を伝え、そしてどのような仕事をして行くのか。その結果の通知表に当たるものがいわゆる収入、「お金」になります。自分の棚卸しや仕事の結果なので、自分でコントロールするのは難しい。とりわけスタート時点では収入をコントロールするのはかなり難しいでしょう。だからこそ、収入ゼロを補うだけの資金があるか、そしてその資金を全部つぎ込むことができるか。つまり「覚悟」がいるわけです。結局、「覚悟」に戻るのです。具体的には資金から何年続けられるか逆算して、この半年でどこまで数字を挙げないといけないかを割り出します。本来のビジネスはそのように考えていくものです。それが「目標値」となります。まずはビジネス全体の「目標値」を定めてみましょう。

生成AIも味方に

さて、近年急速に発達してきた生成AIは、使い方次第で生産性を飛躍的に高められます。有能なアシスタントとして活用できる一方、あくまでもAIに答えを求めるのではなく、「意見を聞く」スタンスに留めておくことが重要です。その意見に納得できないなら、無理に採用する必要はありません。判断基準は自分自身に置いてください。第三者の意見としてAIの意見を聞くことで、アイデアが洗練されていくこともあります。

例えば、「私が現時点でできるビジネスのアイデアを100挙げてみてください」と、生成AIに投げかけてみる。網羅性はAIが得意とするところ。根拠と共にリストアップしてもらうと、自分の可能性に気がつくでしょう。ただし、考えるのは自分自身であることを忘れずに。

厳しい指摘もあるかと思いますが、AIを活用しつつ、半年かけて独立、起業に向けてのステップを一歩一歩上がっていきましょう。

付録

生成AI用プロンプト(ご自身の状況や希望など該当する部分を書き換えて、適宜ご活用ください)

----ここから----

# 命令書
あなたはFP業界の最新動向に精通したビジネスコンサルタントです。以下の制約条件と入力情報をもとに実践可能なビジネスアイデアを提示してください。

# 制約条件
- ビジネスアイデアは30個(各カテゴリ5件、合計6件)を見やすさを重視し提示する
- 実現性・社会性・収益性のバランスを取る
- 日本の2025年時点の経済・社会状況を考慮する
- 最後に「総括」として今後5年のFP業界のことも反映させてまとめる

# 入力情報(あなたの特徴を入力してください・下記は入力例)
【保有資格】CFP資格
【得意課目】ライフプランニング、相続
【活動形態】これから会社を退職し、独立系FPを目指そうとしている
【専門分野】住宅資金、教育資金、老後資金関連
【スキル】相談、講師、執筆
【関心のある分野】AI
【その他】

----ここまで----

※ 上記のプロンプトは、使用する生成AIによって出力結果は異なりますので、複数の生成AIで試してみてください。
※ 入力するプロンプトによっても異なりますので、ご自身で追記、修正など書き換えて使用してください。
※当プロンプトの使用法については、ご自身でご確認ください。また、当プロンプトの利用によって発生したトラブルや損害について、当協会は一切の責任を負いません。ご自身の判断でご利用ください。
※当プロンプトは、あくまで参考用途に限定されるものであり、必ずしも最適な回答を保証するわけではありません。

次回の【独立・起業】分野は、「まずは「自分」を知ることから始めよう」について解説します。
アコーディオン目次
【独立・起業】 第1回~第6回はコチラ (中野克彦氏)
第1回本当に「覚悟」はありますか?
第2回まずは「自分」を知ることから始めよう
第3回公開をお楽しみに!
第4回公開をお楽しみに!
第5回公開をお楽しみに!
第6回公開をお楽しみに!

お話を伺った方

CFP®認定者、リンク・イノベーション 代表

中野 克彦 氏

財務・税務コンピューターメーカーに入社し会計を学んだ後、経営コンサルティング会社を経て、独立後リンク・イノベーションを設立。中小企業のコンサルティング、FPとして講師、相談、執筆を行う。認定心理士、行動経済学会会員。著書に『コンサルティング力がアップするFP資格を活かす150の話題』など。

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