公開:2026.01.08

【独立・起業】まずは「自分」を知ることから始めよう(中野克彦氏)

チャット風吹き出し最終決定版(中央寄せ修正版)

ベテランFPや経済の専門家が、FPに関わるさまざまなテーマやトピックスについて、全6回にわたり解説します。

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中野克彦氏

「独立・起業」の第2回は、独立をするうえで第一歩としたいことをまとめます。独立・起業に役立つ生成AI用プロンプト付きです。

まずは自分の知識・経験の棚卸しから

独立・起業に際して重要なのは、「自分」を客観的に知ることです。それは、独立・起業への「漠然とした不安」を「根拠のある自信」につなげていくプロセスともなります。図表1の「自分」を整理する棚卸しシートを参考に、まずは自分の知識や経験の棚卸しをしてみましょう。独立をイメージして、現在の年代を中心に、左の過去の部分、右の将来の部分を記入していきます。過去やってきたことや実績、現在のことは埋められても、未来のことになると曖昧になってしまい、書けなくなってしまうかもしれません。しかしここで抽象的なアイデア、ビジネス像を「言語化」する習慣を身に付けていきましょう。

図表1 「自分」を整理する棚卸しシート

 

この棚卸しは自分の整理だけでなく、FP相談にも活用できます。相談者の属性や経歴が事前に把握できていれば、その人がどのような知識を持ち、どのような経験を積んできたのかを想像し、相談内容に備えることができます。

その際に、将来の項目が書けない場合は、自分がその相談者より上回る知識や経験を持っているかどうかを考えてみてください。そこで不足が見つかれば、それが今後身に付けるべき知識やスキルだとわかります。

棚卸しの結果、具体的な目標値ができます。一方で、「今の状態で独立ができるのだろうか」と不安になる人もいるかと思います。そんなときは、第1回で述べた「覚悟」を思い出してみましょう。

知識の目安が「CFP®資格」である理由

改めて知識をFP資格の観点で考えていきましょう。やはり独立・起業でいえば、CFP®資格が1つの目安となるでしょう。

FP知識とその活用のベクトルを「自分」を中心にして考えてみます。まず3級FP技能検定は自分のために学ぶ、という動機が多いのではないでしょうか。そのベクトルは自分に向いています。次に、2級FP技能検定、AFP資格になると、FP知識のレベルも上がり、得た知識を自分だけではなく、家族、あるいは友人や身近な知人に役立てたい、という動機も出てくるでしょう。ベクトルは少し「外」に向いていきます。

そして、FP知識をもっと多くの人に役立てたい、独立・起業したいと思ったとき、そのレベルに相当するのがCFP®資格になるのではないでしょうか。それまで内向的だったベクトルは、外向的なものに変わります。それがビジネス化、ということになるかと思います。

CFP®試験になると6課目に分かれ、時間も1課目2時間、合計12時間というハードなものになります。また、計算問題の多さも特徴です。しかも計算問題には何段階も過程があり、答えを導き出すのに時間がかかります。私は、この計算問題こそ実務内容の擬似的な経験ができる部分、知識を身に付ける最善の方法ではないかと考えています。顧客が何らかの目標を達成するための必要資金に関して、税金や各種制度などを考慮しながら、その準備に向けた具体的なシミュレーションを描くプロセスを再現しているからです。要するに、CFP®試験は擬似的な経験を積める資格試験でもあると思うのです。さらに単なる計算だけではなく、後で述べる知識の「広さ」も培われます。例えばCFP®試験の「相続・事業承継設計」の問題の1つ、生命保険金の非課税限度額を求めるには、「リスクと保険」や「タックスプランニング」の知識も必要になる。それがCFP®資格のレベルといえるでしょう。

「知識」の3つのポイント

さて、「自分」を分析する3つのポイントのうち、「知識」について「広さ」「深さ」「長さ」で見ていきたいと思います(図表2)。

図表2 「知識」の「広さ」「深さ」「長さ」

 

知識の「広さ」はFPの特徴でもあります。第1回目でも触れたように6分野すべてカバーできるのがFPです。その視点で見ると、自分にこれから必要なことは何かが見えてきます。図表1に戻り、「広さ」では何が足りないか確認します。6分野すべての知識を身に付けるために、例えばCFP®試験で残りの課目合格を目指す、という目標が見えてくるのではないでしょうか。また、点数によって課目別の知識を定量的に判断することができるため、「◯◯点以上で合格」と具体的な目標値を設定するのもいいでしょう。

次に知識の「深さ」ですが、これは注意点もあります。例えばCFP®認定者となった後、「深さ」を求め、関連する資格、ほかの専門職資格に挑戦する方も少なくありません。否定はしませんが、これらの資格取得を優先するあまり、FPとしての独立が何年も遅れることにならないでしょうか。「深さ」は必要ですが、狭くなりすぎないように注意が必要です。

知識の「長さ」は付加価値に

次に「長さ」です。知識は新しい知識も必要ですが、「長さ」があることも大切です。これはややイメージしにくいかもしれません。「10年前はこうで、5年前はこうでした。つまりトレンドはこうなので、今後はこうなるのでは」、そんな予測ができるFPは付加価値が高いといえます。

例えば税制改正。最新の情報はもちろんのこと、改正前はどうだったかを押さえているか。この項目はいつから改正されて、今に至るのか。そんな時間軸で知識を追うことができるFPは強いのです。

なぜなら、「現在」の情報はインターネットで確認することが可能ですが、そうした情報は、改正のたびに上書きされ、以前の情報は消えてしまいます。ですから、改正前はどうなっていたのかを知っていること、「長さのある知識」を持つことは、FPにとって大きな武器になるのです。

「広さ」と「深さ」を土台とし、「長さ」のある知識を積み重ねることで、専門家としての信頼性が高まります。継続的な学びが欠かせませんが、覚悟を持って取り組めば、必ず「長さのある知識」が身に付いていきます。

付録

バランスの取れた知識を身につける!「広さ・深さ・長さ」を知るプロンプト

生成AI用プロンプト(「入力情報」は一例です。ご自身の状況や希望など入力情報の部分を書き換えて、適宜ご活用ください)

----ここから----

# 命令書
あなたは世の中の制度など様々な知識を身に付けている知識人です。以下の制約条件と入力情報をもとに「広さ」「深さ」「長さ」の視点でファイナンシャル・プランナーが顧客に説明しやすくなるよう、実践的な回答を提示してください。

# 制約条件
- 回答は、まず入力情報に示された事柄の「概要」を示すこと
- 次に「広さ」「深さ」「長さ」に分けて解説していくこと
- 回答は、できるだけ詳細な部分についても掲載すること
- なお、知識の「長さ」とは過去、現在、未来といった時間軸の長さを意味している
- 「長さ」については、制度改正などの経緯や年表なども詳細に提示すること
- 最後のまとめとして、「広さ」「深さ」「長さ」を意識した総括をすること

# 入力情報
住宅借入金等特別控除

----ここまで----

※ 上記のプロンプトは、使用する生成AIによって出力結果は異なりますので、複数の生成AIで試してみてください。
※ 入力するプロンプトによっても異なりますので、ご自身で追記、修正など書き換えて使用してください。
※当プロンプトの使用法については、ご自身でご確認ください。また、当プロンプトの利用によって発生したトラブルや損害について、当協会は一切の責任を負いません。ご自身の判断でご利用ください。
※当プロンプトは、あくまで参考用途に限定されるものであり、必ずしも最適な回答を保証するわけではありません。

次回の【独立・起業】分野は、「経験」と「スキル」を具体的に掘り下げ、独立への道筋をさらに明確にしていきます。
アコーディオン目次
【独立・起業】 第1回~第6回はコチラ (中野克彦氏)
第1回本当に「覚悟」はありますか?
第2回まずは「自分」を知ることから始めよう
第3回公開をお楽しみに!
第4回公開をお楽しみに!
第5回公開をお楽しみに!
第6回公開をお楽しみに!

お話を伺った方

CFP®認定者、リンク・イノベーション 代表

中野 克彦 氏

財務・税務コンピューターメーカーに入社し会計を学んだ後、経営コンサルティング会社を経て、独立後リンク・イノベーションを設立。中小企業のコンサルティング、FPとして講師、相談、執筆を行う。認定心理士、行動経済学会会員。著書に『コンサルティング力がアップするFP資格を活かす150の話題』など。

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