公開:2025.08.01

『孤独・孤立』時代の終活ガイド

ひとごとではない孤独死の実態とリスク

独身やDINKs世帯が、50歳を一つのターニングポイントとして考えておきたいのが、終活です。高齢期になると頼れる家族や知人などがいないケースもあり、孤立する可能性も高くなります。

警察庁の発表によると、2024年に警察が取り扱った死者20万4,184人のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人は7万6,020人と、4割近くに上っています。その中の4割が死後当日もしくは翌日に発見されているものの、1週間以上経って見つかった人も2万人以上いることが分かっています。

もしも自宅で亡くなり、何日も経ってから発見された場合、遺体の腐敗が進み、自宅の修復や処理が困難になります。死後の埋葬や遺品整理などの手続きも発生するため、近隣住民や不動産関係者、行政など多くの関係者を巻き込む事態となる可能性もあります。自分の意志で人生のラストを決め、周囲に迷惑をかけることなく一生を締めくくるためにも「終活」は非常に重要だと言えます。

まずやっておきたいのは身元保証人の確保と身辺整理

孤独死のリスクを避けるためには、元気なうちから、入院や施設に入るときに必要となる身元保証人や身元引受人の当たりを付けておきましょう。

身近に引き受けてくれる人が見つからない場合、成年後見制度を利用する方法もあります(図表)。この制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があり、必要な手続きや対象者、本人の同意の有無などが異なりますので、地域包括支援センターや社会福祉協議会などの窓口であらかじめ相談しておくのがよいでしょう。

図表 法定後見制度と任意後見制度の違い

任意後見法定後見
補助保佐後見
対象者将来に備えたい人重要な手続き・契約の中で一人で決めることに心配がある人重要な手続き・契約などを一人で決めることが心配な人多くの手続き・契約などを一人で決めることが難しい人
特徴一人で決めることができるうちに任意後見人を選定する一部の契約・手続き等の同意・取り消しや代理
※申し立てにより裁判所が定める行為
財産上の重要な契約等の同意・取り消しや代理
※申し立てにより裁判所が定める行為
すべての契約等の代理・取り消し
※日常生活に関する行為は除く
後見人の決定自分で選んだ人を任意後見人に定めることが可能家庭裁判所が選任
(本人の親族、法律や福祉の専門家、福祉関係の法人やその他の法人など)
出所:厚生労働省「ひとりで決めることが心配な人の その人らしい生き方と安心を支える成年後見制度」を基に日本FP協会作成
成年後見制度は大別すると2種類あり、本人の判断能力の有無によって利用できる制度が異なる。それぞれ後見人の選出方法、財産管理や契約に関する権限などに違いがある。

また、残された人が遺品整理をスムーズに進められるように、生前に身辺整理を済ませて身軽にしておくとともに、エンディングノートや遺言書を準備しておくことも重要です。家財の処分には相応の費用や手間がかかりますので、あらかじめ整理しておき、残された人にあまり負担をかけないようにしたいものです。

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