公開:2026.04.13

【2026年春闘・賃上げ】日系企業(東南アジア)のベースアップ率は?

2026年3月上旬時点、長引く物価高に加えて、アメリカ等によるイランへの軍事攻撃を背景とした原油高騰への懸念が高まっています。これにより食料品や日用品、さらには光熱費の負担増など、家計への圧迫が深刻化する可能性が指摘されています。

そのような中で、今年の春闘において賃上げ率がどの程度の水準に着地するのかは、私たちの生活と日本経済全体に大きな影響を与えることになります。

そもそも春闘とは、正式名称を「春季生活闘争」といい、全国の労働組合が新年度の4月に向けて、経営側に対して賃上げや労働環境の改善を一斉に要求し、交渉を行う日本特有の仕組みです。多くの企業で毎年2月から3月にかけて交渉を行うことで、社会的な相場観を形成し、個別の企業単独では難しい労働条件の引き上げを全体に波及させる狙いがあります。

近年の動向を振り返ると、デフレ経済下で長らく低水準の賃上げが続いていましたが、深刻な人手不足や歴史的な物価高への対応を背景に、2024年、そして2025年と連続して5%台という、過去四半世紀で見ても異例の高い賃上げ率が実現しています(図表1)。

【図表1】春闘における平均賃上げ率の推移(過去10年)

出所:厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」を基に日本FP協会作成

一方、米国などの諸外国と比べて、日本は労働生産性が向上しているにもかかわらず、なかなか賃上げが進まないという指摘も見られます。この「賃上げの波」が一過性のものに終わるのか、それとも2026年も継続して定着していくのかが、今年の春闘の焦点といえるでしょう。

ここでクイズ

JETRO(日本貿易振興機構)の「2024年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」では、東南アジア諸国・地域における日系企業の2023年~2024年のベースアップ(基本給の昇給)率が公表されました。中でも、多くの日系企業が進出する「インド」において、在インド日系企業のベースアップ率は何%でしょうか?

※JETROが調査対象とした、北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業

A. ③9.6%

解説

インドに進出している日系企業は、該当国・地域におけるベースアップ率では上位3カ国に入ります。なお、本調査では、パキスタン(17.0%)、ラオス(11.4%)、インド(9.6%)がトップ3となり、中国(3.5%)、香港(3.0%)、台湾(3.0%)がワースト3となりました。

海外ではこうした動きが見られますが、日本国内において連合(日本労働組合総連合会)は、2026年春闘の要求目安として、前年と同水準である「5%以上」(そのうちベースアップ3%以上)という目標を掲げました。また、大企業と中小企業の賃金格差を是正するため、中小企業の労働組合に対してはさらに高い「6%以上」という要求水準を設けています(図表2)。

【図表2】2026年春季生活闘争における連合の要求水準

項目要求水準連合方針の狙い・背景
全体(定昇維持分+ベースアップ等)5%以上継続的な賃上げによる実質賃金の確実な向上と、「経済の好循環」の実現を目指す。
うちベースアップ(賃金改善分)3%以上基本給自体の底上げを図り、歴史的な物価高に負けない生活水準の維持・向上を図る。
中小企業の要求目安6%以上企業規模間における賃金格差を是正するため、大企業を上回る1%分の上乗せを要求する。

出所:連合(日本労働組合総連合会)「2026春季生活闘争方針」を基に日本FP協会作成

この5%という数字の背景には、持続的な賃上げを社会全体に根付かせようとする強い意志があります。連合の芳野友子会長は2026年の年頭記者会見において、今年の春闘は賃上げを定着させる正念場と位置付けました。過去2年間の高い賃上げ率を一過性のものに終わらせず、高い水準で定着できるのかに注目が集まっています。

賃上げには、政府や日本銀行も大きな期待を寄せています。政府はデフレからの完全脱却と、経済の好循環を実現するため、物価上昇を上回る賃上げの達成を産業界に強く要請してきました。また、日本銀行にとっても春闘の行方は極めて重要です。

なぜなら、持続的かつ安定的な物価上昇とともに賃金が上がっていく仕組みが日本経済に定着するかどうかは、今後の金融政策(追加の利上げなど)を左右する判断材料となり得るからです。

とはいえ、賃上げが達成されたとしても、日々の物価上昇のペースに追いつかなければ、実質的な生活の豊かさを実感することは困難です。大企業だけでなく、日本の雇用の大半を占める中小企業で働く人や、非正規雇用の人にもその恩恵が行き渡るのか。今年の春闘で、物価高に負けない持続的な賃上げがどこまで社会全体に波及するのかが重要となります。

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