公開:2026.05.07

インバウンド向け「二重価格」が今後の主流に?

世界の観光地では珍しくない「二重価格」

インバウンド(訪日外国人)の増加に伴い、観光地や飲食店の混雑、生活環境への影響など、いわゆるオーバーツーリズムの問題が指摘されています。こうした中、日本でもインバウンド向けに「二重価格」の導入を検討する動きが見られるようになりました。

この場合の二重価格とは、地元住民と外部からの観光客などで料金を分ける価格設定を指します。例えば、エジプトのピラミッドやカンボジアのアンコールワットなどでは、現地住民は低料金、外国人観光客は高い料金を支払う仕組みが導入されています。文化財の保護費用の確保や住民の利用機会を守ることが主な目的です。

図表 海外の観光地における二重価格の例(2026年3月1日時点)

観光地金額
ギザのピラミッドエジプト外国人の入場料はエジプト国民の10倍以上
アンコールワットカンボジアカンボジア国民は無料、外国人の1日入場券は37ドル
タージ・マハルインド外国人の入場料はインド国民の20倍以上
ワット・プラケオ
(エメラルド寺院)
タイタイ国民は無料、外国人は500バーツ
ルーブル美術館フランス欧州連合(EU)などの国民は22ユーロ、その他の外国人は32ユーロ
出所:日本FP協会作成

二重価格導入の期待と懸念

日本でも、オーバーツーリズム対策や観光資源の維持という観点から、二重価格の導入が具体化し始めています。

世界遺産の姫路城では、2026年3月から入城料を兵庫県姫路市民とそれ以外で分ける制度が導入されました。市民(18歳以上)の一般料金はこれまで通り1,000円に据え置く一方、市民以外は2.5倍の2,500円に引き上げられます。

二重価格の導入効果は単なる増収のみならず、観光客の集中緩和、地域住民の利用機会の確保なども期待されます。一方で価格差が大きい場合には、不公平感を招く可能性や、観光地としてのイメージ低下につながる懸念もあります。海外では人種差別と受け取られないよう、国籍ではなく居住実態などを基準に料金を分けることも少なくありません。

二重価格の設定や制度設計は各自治体や施設の判断に委ねられています。導入の際は、地域住民と観光客の双方が納得できる透明な料金設定が求められるでしょう。

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