公開:2025.12.18

上昇を続けるエンゲル係数、家計への影響は?(上)

エンゲル係数の推移

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合を示す指標です。食費は生活必需品目のため、エンゲル係数の高低は生活水準(家計)の目安になるとも考えられています。

2024年の総務省の家計調査(二人以上の世帯)によれば、2000年~2012年までのエンゲル係数は23%前後の横ばいでした。2013年以降は緩やかな上昇傾向が続き、2020年以降は30%に近づきつつあり、上昇局面を迎えています。

図 二人以上の世帯の1世帯当たりのエンゲル係数 推移

出所:総務省「家計調査(二人以上の世帯)2024年(令和6年)」を基に日本FP協会作成

エンゲル係数上昇の要因は?

エンゲル係数が上昇している背景には、複数の要因が絡み合っています。

例えば、食料品価格の上昇です。円安や原材料などの価格高騰により、輸入食品を中心に価格が大幅に上がりました。特に小麦や食用油、乳製品など、日常的に使う食品の値上げが家計に打撃を与えています。

加えて物価高の影響により、食費以外の支出を抑える節約志向も広がっています。旅行や娯楽、衣料品などへの支出を控える一方で、食費は生活必需品のため削りにくく、食料品価格の値上げも相まって、相対的にエンゲル係数が上昇しているのです。

さらに、共働き世帯の増加も要因の一つと言えるでしょう。家事に対する時短需要が高い共働き世帯では、弁当や総菜、調理済み食品といった「中食」を利用する機会が増える傾向にあります。こうした家計構造やライフスタイルの変化も、エンゲル係数を押し上げる一因となっていると考えられます。

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