公開:2025.08.01

景気実感はどうして良くならないのか?【トレンド+plus】

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「景気は良いですか?」と質問しても、「私には関係ないですね」とか、「物価が上がって頭が痛い」といった消極的な回答が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。なぜかと言えば、多くの人が所得増加の機会に恵まれていないからです。

かつて、預金金利が高かった時代には、年金生活者であっても利息収入の増加が見込めました。しかし、預金金利が年0.25%を切ることもある現在では、利息収入のみではとても生活費など賄えません。書店に行くと、「配当生活の方法」、「運用利回り4%でFIRE生活(早期引退)」などをテーマにした書籍が目に入ります。ただ、かなり資産運用の技巧を凝らさないと、そんな夢のような運用成果を得ることは難易度が高いでしょう。

実は、サラリーマンでも、給与や待遇があらかじめ決まっていて、所得拡大の機会が制約されているケースが少なくありません。そうした人に「景気は良いですか?」と聞いても、良い答えは返ってこないでしょう。

しかし、発想を変えると、仕事のニーズはあります。人口が減少して、飲食店や各種サービス業界は人手不足です。中小企業も大企業も、自分の力で稼げる高いスキルの人材を欲しがっています。そのため、スキマ・バイトのアプリや転職仲介ビジネスが流行するのです。自分でそうした情報を活用して、少しずつ成果を増やすしかありません。可能であれば、知人・友人が経営する先の方が安全で、融通が利くこともあります。しかし、そうした機会がない人は、不特定多数の応募にエントリーしなくてはいけません。

少し話を整理すると、「景気実感が良くない」理由は、自分が収益機会から遠いことが理由です。それを打開するには、資産運用を工夫して、リスクを取ることや、人手不足に悩んでいる事業者に労働力を売るなど、自分から動いて収益機会を探す必要があります。後者は、副業という手段になります。家計のアンケートを調べると、副業の経験がある人の割合は増加しています。収益機会に自らアクセスすることが、景気実感を改善させる方法のひとつになります。

しかし、本来は、自分の本業で稼げる力を高めることが本筋です。ここが問題の核心でしょう。人口が高齢化して近年の日本経済は0~1%代の成長です。しかも、購買力は物価上昇にほとんど食われてしまいます。自分がよほど恵まれた職場にいなければ、景気の良さは実感しにくいと思います。ならば、あなたはどうしますか?

現時点で、自分に稼ぐチャンスがなくても、能力構築に時間とお金をかけて将来の収益機会をたぐり寄せられるように準備します。これは自分への投資です。人材育成のセオリーには、業務上の経験が7割、上司・同僚・師匠からの薫陶が2割、座学が1割、という言葉があります。今の自分の収益機会が限られているとしても、能力を貯蓄(投資)することで将来の機会を開くことはできると思います。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

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