公開:2025.10.15

路線価上昇で影響必至の相続税

相続税は「対岸の火事」ではない時代に

相続税や贈与税の基準になる路線価は、毎年7月に発表されます。路線価は都心の物件価格高騰、大都市近郊を含めた再開発の活発化、インバウンド需要の継続などを背景に、この数年間は上昇傾向が続いています。

今年公表された路線価の全国平均は前年比2.7%プラスで、4年連続の上昇となりました。特に長野県白馬村(前年比32.4%プラス)、北海道富良野市(同30.2%プラス)といった観光地や、東京都足立区千住、大阪市淀川区宮原、名古屋市千種区今池など交通至便なエリアでの上昇が目立っています。

図表 令和7年分 都市部の路線価上昇率の上位(1㎡当たり)

東京国税局管内

順位所在地対前年の上昇率
1位東京都台東区浅草1丁目 雷門通り29.0%
2位東京都足立区千住3丁目 北千住駅西口駅前広場通り26.0%
3位東京都中野区中野5丁目 中野駅北口駅前広場前24.7%

大阪国税局管内

順位所在地対前年の上昇率
1位兵庫県豊岡市城崎町湯島 主要地方道豊岡竹野線24.2%
2位大阪府大阪市淀川区宮原3丁目 市道歌島豊里線18.5%
3位大阪府大阪市浪速区難波中2丁目 市道浪速区第9033号線17.9%

名古屋国税局管内

順位所在地対前年の上昇率
1位岐阜県高山市上三之町 上三之町下三之町線通り28.3%
2位静岡県熱海市田原本町 平和通り15.2%
3位愛知県名古屋市千種区今池1丁目 広小路通り14.3%
出所:各国税局の報道発表を基に日本FP協会作成

国税庁が公表した「令和5年分相続税の申告事績の概要」によると、令和5年の被相続人数は約157万人、課税割合は9.9%と過去最高になりました。実に10人に1人が相続税の課税対象となっていることから、相続税はもはや資産家だけが対策すべきことではない身近な問題だと言えます。

「小規模宅地等の特例」で税負担が軽減できる可能性も

相続税の納付は国から通知などが送付されるわけではなく、納税者自ら申告する必要があり、相続する予定の不動産の相続税評価額は、建物と土地に分けて算出します。建物は固定資産税評価額と同額もしくは、個々の状況に応じて調整しなくてはなりません。土地については路線価方式、倍率方式が用いられます。

また、相続する土地の評価額が高額になっても、「小規模宅地等の特例」が適用されれば相続税の負担が軽減される可能性があります。被相続人が相続開始直前まで住んでいた宅地や、特定事業用宅地、貸付事業用宅地などが対象になり、評価額を最大80%まで減額することが可能です。適用要件は相続する土地の利用区分などによって異なりますので、相続が始まる前に専門家に相談するなど、準備を進めておくのがよいでしょう。

ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • いいね数
  • コメント数