公開:2025.09.26

知っておきたい「外国為替」の基本

為替相場はなぜ動く?円高・円安のメカニズム

円高は外国の通貨に対して円の価値が高くなること、円安は逆に円の価値が低くなることです。円高・円安になる要因としては「海外との金利差」や「貿易収支の変動」などがあります。具体的な例として米ドル/円相場で見てみましょう。

お金は金利が低いほうから高いほうへ流れる性質があります。より金利が高い通貨で運用したほうが多くの利益を見込めるから、というのが主な理由の一つです。現在は、基本的に日本よりアメリカのほうが金利水準は高く、日米の金利差が拡大すると円安、縮小すると円高が進みやすくなると言われています。そのほか景気情勢や金融政策、地政学リスクなどにも大きく左右されます。


昨今は円安の進行によって円の実力が下がったという見方も強まっています。その一つの指標になる実質実効為替レート※は1995年以降下落傾向にあり、直近5年間は1970年代と同水準まで下落しています。これはバブル崩壊後のデフレや低成長の影響でインフレ率が上がらなかったことに加え、2013年から導入された「異次元緩和」の副次的作用として「円売り・ドル買い」が活発化したこと等が原因とされます。

※特定の2通貨間の為替レートだけでは捉えられない、通貨の総合的な実力やその変動を見るための指標。国際決済銀行(BIS)の実質実効為替レート(Broadベース)の場合、約65の国・地域の通貨を対象として、貿易額や物価水準などを基に算出される

図 円の実質実効為替レートの推移(1970年1月~2025年6月:月次)

出所:日本銀行 時系列統計データを基に日本FP協会作成

為替変動は家計にどんな影響を与えるのか

家計にとって、円高・円安はそれぞれメリット・デメリットがあります。

例えば円高になると外貨を安く調達できるため、海外の商品を安く買えたり、海外旅行費用が安くなったりします。一方で、外貨預金や外国株式などの外貨建て資産で運用している場合、円換算後の価値が目減りする点に注意が必要です。

反対に円安になると、外貨建て資産の円換算後の価値は上がります。また、円安時には輸入品の価格が高くなります。日本は自給率が低いことから原材料や資源の多くを輸入に頼っています。円安が進むと食料品や日用品、ガス、ガソリンといったさまざまな物価の上昇につながるので注意が必要です。

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