FP・専門家に聞く
2026.01.27
【家計管理】「家計簿」は必ずしもつけなくていい!?(風呂内亜矢氏)
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公開:2026.01.27
今回の「家計管理」では、家計管理を続けるうえでの「家計簿との付き合い方」について解説します。
2026年、新しい年がスタートしました。年始には、この1年の抱負・目標を立てる人が多いことと思います。家計管理でいえば、「今年は○万円を貯める」と決意して「お金を貯めるにはやっぱり家計簿!」と新しい家計簿を購入し、記帳を始めている家庭もあるでしょう。
一方で、「以前に家計簿に挑戦したものの、続けられなかった」という経験をした人も、決して珍しくありません。そもそも家計簿の記帳というのは、思いのほか大変な作業です。
通勤途中に使ったカフェ代から週末に出かけたレジャーの費用、セールにつられてインターネットで買った物など、日々のさまざまなお金の出入りをもれなく記録し、それをずっと続けていくのですから、忍耐力も持続力も必要です。中には家計簿の記帳を続けられない人がいても無理はありません。私自身も、細かい記帳は苦手なほうです。
前回(12月公開)のコラムで、半年~1年ごとの「中期」の家計チェックでお金が増えているのであれば、家計簿のような「短期」の管理は必ずしも必要ない、というお話をしました。しかし、もし中期の収支が赤字傾向なら、「短期」の管理として、家計簿などを通じて日々の出費と向き合ってみる必要があります。
では「家計簿の記帳が苦手」あるいは「家計簿をつけているのに貯蓄が増えない」という人は、どうすればいいのでしょうか?
そもそも家計簿をつけている人の多くは、入ってくるお金を管理し、出ていくお金を減らして貯蓄を増やすことを目的としているはずです。「家計簿をつけてお金を増やす」というプロセスをさらに分解すると、大きく次の3つのステップがあります(図表)。
このプロセスをあらためて見ると、ステップ①の家計簿記帳は、これだけでわが家のお金を増やしてくれるわけではないことがわかります。ステップ②の分析を経て、③の収支改善の行動を起こすことで初めて貯蓄が増え始めます。実際にお金を増やすには分析や行動変容が重要なのに、その手前である家計簿記帳がつらくて挫折してしまう人が少なくないわけです。
反対に「家計簿をつけているのにお金が増えない」という人は、記録ができたことで達成感を得て満足してしまい、分析や行動変容に取り組めていない可能性があります。
これらを解決するには、①の家計簿記帳(家計の入出金データの記録)の手間をできるだけ省き、ラクに続けられる方法を選ぶことが肝心です。むしろ家計簿記帳が苦手な人こそ、「いかに手抜きをするか」を考えてみてほしいのです。
家計簿記帳の手間を減らす1つ目の方法は、すでにあるデータを活用することです。
家計簿をつけなくても、家計の入出金の記録はさまざまなところにあります。買い物のレシートや銀行通帳、クレジットカードの利用明細などの既存のデータを活用し、1週間、1カ月単位のお金の使い方を分析し、行動を見直すだけでも貯蓄を増やす効果があります。
| ・買い物のレシート |
買い物のたびにもらうレシートをためておき、週末などにレシートの支出を確認してみましょう。このとき「買わなくてもよかったかも……」というものがあればペンで印をつけ、1週間の合計額を確認します。「なんとなく買ったけれど後悔している」という“不本意な買い物”に自分がいくら使っているのかを知るだけでも、意味があります。
| ・預金通帳 |
月に1回、銀行通帳の記帳をしてチェックしてみましょう(Web通帳でもOK)。生活費用の口座であれば、不明な引き落としがないか、予定通りに貯蓄ができているかを確認します。
家族旅行や冠婚葬祭などで不定期に預金を引き出しているときは、何に使ったのかをメモしておくと、今後の参考にもなります。何に使ったか思い出せないときは、不要な支出が発生しているかもしれません。
| ・クレジットカードやキャッシュレス決済の明細 |
○○payなどのキャッシュレス決済をよく使う人であれば、レシートと同様に週に1回程度、履歴を確認しましょう。1回ずつは少額の買い物でも、月で見ると大きい金額になっているかもしれません。
クレジットカードは月1回、利用明細を確認しましょう。通信料やサブスクのサービスをクレジットカードで払っている人は、不要なオプションや解約を忘れている契約などがないか、チェックします。
現金もキャッシュレス決済も合わせて支出全体を確認したいときや、家計簿のような記録が得意という人は、もちろんコツコツと家計簿をつけるのもいいでしょう。家計簿をつける際のポイントは、なるべく手間を省いて、自分の続けやすい方法で記録を続けていくことです。
| ・手書きの家計簿 |
手書きで記録をつける家計簿は、サイズも形式もさまざまなタイプのものが市販されています。自分に合ったもの、つけやすいものを選んで書いてみてください。
記録のつけ方は「1円、10円単位で計算を合わせよう」と気負わないこと。ざっくりと何にどれだけお金を使ったかという傾向をつかむことができればOKです。そして、週末や月末などに必ず記録を振り返り、“不本意な支出”をチェックするようにしてください。
| ・家計簿アプリ |
最近は、家計簿アプリも多くの種類が出ています。家計簿アプリは、資産管理機能が充実したものと支出の記録を重視したものに大別できます。前者には、銀行口座やクレジットカードなどと連携して家計の入出金や資産の管理ができるものもありますが、慣れない人にとっては操作画面が少し難しく感じるかもしれません。
多くの手書きの家計簿のように支出の記録ができればいい場合は、シンプルに支出のみを記録できる家計簿アプリを選択するのがいいと思います。無料で使えるものをいくつか試して、使い勝手のいいものを選びましょう。もちろん記録をしたら、分析と行動の見直しを忘れずに。
私自身は26歳でマンションを購入し、そのときから貯蓄を意識するようになりました。その際にも家計簿をつけることはせず、通帳やカード明細などからお金の使い方を徹底して見直すことで、貯蓄を増やすことができました。
ただ、FPとして活動している今でも、うっかり“不本意な買い物”をしてしまうことはあります。私の場合、「努力すればできるはず」と背伸びをしたり、自分を過信したりしたときに失敗することが多いです。
例えば、大小のサイズ違いのバッグがあってどちらか1つを選ぶとき、「持ち歩く荷物を少し減らせば、かわいらしい小さいバッグでいけるだろう」と小さいほうを購入し、買った後に「普段の荷物量を考えたら、やっぱりこれでは入りきらなかった……」と後悔したりすることがあります。
こうした“弱点”は、人によってそれぞれ違うと思います。人の誘いを断れずに、外食費や交際費がかさむタイプの人もいれば、新しいものやサービスを見たときに「これがあったら便利」と期待が高まり、財布のひもを緩めたものの、結果的には思ったほど活用できなかったなど、誰でも自分の苦手なシチュエーションがあるはずです。家計簿やその他の家計の記録を振り返ることで、自分が失敗しがちなポイントの共通項を見つけてほしいのです。
そして、どうすれば自分の弱点を避けられるのか、考えてみてください。人の誘いを断るのが苦手な人なら「今は習い事や資格試験に集中していて忙しい」といった理由を最初から用意しておくのも一案です。
自分の弱点を避ける行動を増やし、反対に、支出の中で後日振り返ったときに「これはお金を出してよかった」と思えるものの比率を上げていくようにすると、その人の消費行動が変わり、貯蓄が増える家計になっていきます。
(取材:日本FP協会 編集出版部)
| 第1回 | 年末年始は「資産の棚卸し」のチャンス! |
|---|---|
| 第2回 | 「家計簿」は必ずしもつけなくていい!? |
| 第3回 | 公開をお楽しみに! |
| 第4回 | 公開をお楽しみに! |
| 第5回 | 公開をお楽しみに! |
| 第6回 | 公開をお楽しみに! |
CFP®認定者
風呂内 亜矢 氏
独身時代にマンションを衝動買いしたことをきっかけに貯蓄、資産運用をスタート。現在は株式、投資信託などでの運用のほか、夫婦で複数のマンションを保有し賃料収入も得ている。テレビ、新聞、雑誌での解説のほか、『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。』(Gakken)などお金に関する著書・監修書は約30冊。YouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」では、日常の記録に交えてお金にまつわるTipsを発信している。
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