公開:2026.08.17

インフレ時代の為替・株式・債券の関係【トレンド+plus】

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為替・株式・債券の関係を知る

FP資格を持っている人には、金融機関に勤務した経験がある人が多いと思います。そうした人であっても、①為替、②株式、③債券(金利)のすべてに詳しいと胸を張って言える人は多くないのではないでしょうか。

その理由として、担当部署が分かれている関係上、「株式運用は経験したが、債券の畑で働いたことはない」というようなケースがよく見られるからです。
それは、資金運用全体を統括するポートフォリオ・マネージャーでも同じです。運用部門のスタッフとして働いても、自分の裁量で決められることは少なく、広く相場観を身に付けにくいという声がままあります。金融機関での勤務経験がある人でもそうなのですから、他分野出身であっても、「自分は為替と株式と債券のすべてを理解できていないから知識不足だ」などと過剰に躊躇する必要はありません。「みんなよく知らないのだから、自分で経験して身に付けるしかない」位に考えてよいと思います。
では、この3つをどう勉強すればよいのでしょうか。実は、金融の教科書を開いても答えはなかなか見つかりません。様々な捉え方がありますが、近道としては①為替、②株式、③債券の関連性で考えて、相場の動きがどう関係しているのかを理解することがあげられます。

株価と債券・長期金利の関係 ~株価下落でも長期金利が下がらないのはなぜ?~

まず、わかりやすいのは、株式と債券(国債)です。この2つが主要なポートフォリオの2大構成項目になっていて、株価が下がるときに、債券が買われやすくなる傾向があります。株式から債券への資金シフトが起こると、理論上、「株安」と「債券価格上昇に伴う長期金利低下」がセットで起こります。
しかし、最近は株価が大幅に落ちても、長期金利は下がりません。なぜなのでしょうか?

少し脱線しますが、日々の相場をみるとき、このように「なぜ?」と考えることは最重要です。その日には理由がわからなくても、数日経って「ああ、そうだったのか!」と気付きがあることもあります。スキルは、個人投資家がこのように納得感を繰り返すときに相場の変化を身近に感じ取ることで高まります。

話を戻すと、長期金利が下がりにくい理由は、インフレ圧力が強いせいです。
債券価格はインフレ予想が強いときに下がりやすいので、インフレ圧力が強い状態では、債券価格が下がり、たちまち損失を受けることが警戒されます。そのような状況では、当然投資家は債券を買いにくくなります。

一方株価は、インフレでも個別企業の決算で悪い情報が流れると一般的には下がります。国債取引にはそうした決算など個別の事情が影響しにくく、むしろインフレ予想や日銀の金融政策に主導されて動きます。このセオリーに当てはめると、原油価格が上がって、インフレ予想が強まる現在の状況では、長期金利が上がるということになります。
つまり、直近の環境では株価が下落しても投資資金は債券にシフトしにくいといえるでしょう。

株価と債券の関係 ~円安での株価上昇の原因はどこにある?~

次に、為替と株価の関係はどうでしょうか。円安になるとき、なぜ株価は上がるのでしょうか。

以前は、「円安になると、製造業の企業が輸出で受け取ったドル資金の評価が上がるから、株価も上がる」と説明されることが多くありました。しかし、この説明は日本国内の事情にしか触れておらず、それだけで相場変動に説明を付けようとするのは、筆者には少々強引に思えます。
実際は、米国で決算の結果が強く、それを材料に米国株価が上がるとき、米国にも投資資金が流入することで、ドル高になります。ドル高=円安は、米国が主因で起こるのです。その背景を踏まえて、日本の株価上昇の要因を考えると、米国企業の決算が良くてその企業の株価が上昇したとき、米国の投資資金が日本市場に分散投資されます。そうしたマネー変動で日本株価が米国株価の上昇につられて上がるという図式になります。

図表■マネー相関図

出所:筆者作成

学びの本質 ~スキーマの構築~

ここまでの説明を聞いて、「その時々の変化を都合よく解釈して、ストーリーをつくって納得しているだけではないか」と思う人もいると思います。正直、そうした印象は、必ずしも間違っていないと思います。人が考察する以上、専門家と呼ばれる人たちの意見の中にも、いくらかは都合のよいストーリーが混ざっていることは仕方がありません。しかし、自分自身が相場の原理を頭に入れるには、こうしたストーリーづくり(=文脈を読む作業)はとても役立ちます。また、自分なりのストーリーづくりができるようになると、巷に溢れる意見の中で、場当たり的なものはどれかが即座に判別できるようになります。これもスキルアップの効用でしょう。

何の勉強でもそうですが、その分野のトレーニングを3~6か月程度やると、スキーマ(枠組み)ができてきます。習慣化によって、頭の中に考えるための解釈のフォームができると言ってもよいでしょう。

なぜ、FPがマーケットの勉強を地道にするのかと言えば、このスキーマを脳内に形成することが目的の一つです。目的意識を持てば、苦痛を伴う勉強も、継続することが比較的楽になります。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

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