FPトレンドウォッチ
2025.08.27
GAFAM(ガーファム)の株価推移から見る株式投資の留意点【トレンド+plus】

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公開:2025.08.27
GAFAM(ガーファム)とは、米国のテクノロジー会社5社を指しています。
Google、Apple、Facebook(現在はメタ・プラットフォームズ)、Amazon、Microsoft の5社の頭文字を取った呼び名です。
以前、日米欧アジアの株価推移を見たとき(記事はこちらから) のように、各社の2024年1月平均の株価を100として、2025年8月中旬までの上昇率をランキングにすると、以下のようになっています(図表)。
1位:メタ・プラットフォームズ(旧Facebook)
2位:Amazon
3位:Google
4位:Microsoft
5位:Apple
これらGAFAMは、テクノロジー企業だという点で共通しています。いずれも、米国が人工知能やクラウド、スマホ、ネット通販で成長していることが、これらの株価の成長の源泉です。しかし、この5社合計の株式時価総額は、12兆ドル(2025年8月中旬時点)を超え、少し買われ過ぎているという見方もあります。米国の名目GDP(経済規模)が約29兆ドル(2024年)だとすれば、この5社だけでその約4割です。
米国の株価がこの5社を牽引役として伸びているので、米国株の動向を考えるうえで、「GAFAMの株価はどこまで伸びるのか?」という質問が出ることになります。
実は、GAFAM以外にも、米国株式市場をけん引する企業があります。人工知能用半導体をほぼ独占的につくるエヌビディアと、電気自動車の大手テスラの2つです。GAFAMの5つにこの2つを併せて、「マグニフィセント・セブン」(映画「荒野の7人」の原題)というグルーピングもあります。
この2銘柄の上昇率も著しいものとなっており、GAFAMの5社のうちメタだけが何とか、テスラを上回る上昇率です(図表2)。
株価上昇という点では、特に、エヌビディアは驚異的というほかありません。人工知能の技術が止まるところを知らずに進化し続けていることが背景です。
電気自動車の大手であるテスラは、CEOのイーロン・マスク氏がトランプ政権に参画し、その後離反したことなどが影響し、株価が大きく上下動しました。この事例から、高い株価の上昇率から一見安泰に見えても、ふとしたきっかけで株価が大きく下落することもあるため、特定銘柄に集中的に投資するのはリスキーだと考えることができます。
注意点は、GAFAMにエヌビディアとテスラを加えたマグニフィセント・セブンの株価を裏付けるのが「決算の好調さ」だという点です。逆に言うと、四半期ごとの決算で高収益を叩き出すことができなくなると、株価上昇は成り立たなくなる可能性があるということです。
最も上昇率が高いエヌビディアは、通期の売上が2025年1月期は前年比2.1倍、その前期は前年比2.3倍と倍々ゲームで増えています。今のところ、その業績見込みの強さが高い株価を正当化しています。
しかし、イノベーションには先が読めないところがあります。2025年1月には「Deep Seekショック」という波乱がありました。中国のAI企業が格安のコストで生成AIモデルをつくることに成功したので、米国のAI覇権が崩れるという不安心理に火がつきました。
結局このショックの後、米国のAIの方がさらに高度化した人工知能(チャットボット)を提供する成り行きになったことなどもあり、エヌビディアの値崩れも起こらず、ことなきを得ました。
しかし、マグニフィセント・セブンにもそんな未知なるショックがまだ襲ってくるのではないかという教訓を知らしめた点では、Deep Seekショックは意義深いものだったと思います。今は無敵に思えても、そうした落とし穴があることは、投資するときに十分に頭に入れておく必要があります。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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