FPトレンドウォッチ
2025.10.10
「天才」のつくり方【トレンド+plus】

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公開:2025.10.07
更新:2025.10.10
民事信託と成年後見制度は、いずれも財産管理を第三者に委ねる制度ですが、それぞれの仕組みや特徴は異なります。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分になった人(成年被後見人)を、家庭裁判所が選任した成年後見人が支援・保護する制度です。成年後見人は被後見人の財産管理等を通じて、被後見人の権利を守ります。
成年後見制度には、すでに判断能力が低下した場合に利用する法定後見と、判断能力が低下する前に後見人を決めておく任意後見があります。いずれも家庭裁判所の関与のもと、本人保護を最優先とした制度です。
一方、民事信託は契約に基づく財産管理制度で、裁判所の関与を必要としません。成年後見制度に比べて、柔軟に当事者の意思を反映しやすい方法だと言えるでしょう。
民事信託 | 法定後見 | 任意後見 | |
---|---|---|---|
制度の目的 | 財産管理・承継 | 判断能力低下者の保護 | |
契約開始時期 | 判断能力が低下する前 | なし(裁判所が選任) | 判断能力が低下する前 |
利用開始時期 | 任意の時期から | 判断能力低下後 | 判断能力低下後 |
家庭裁判所の関与 | なし | 法定後見人を選任(選任者には監督人が付く) | 任意後見監督人選任 |
財産管理者の選任方法 | 委託者が受託者を選任 | 裁判所が後見人を選任 | 被後見人が後見人と契約 |
終了条件 | 信託契約が続く限り受託者が管理継続 | 本人の判断能力回復または死亡するまで後見継続 |
民事信託は柔軟な財産管理が可能ですが、利用にあたっては注意すべき点もあります。本人の判断能力が十分なうちに契約する必要がある点や、認知症発症後には利用できない点もあるため、本人が健康なうちになるべく早期に検討を始めるのが望ましいといえます。
また、民事信託は財産管理に特化した制度であり、受託者は介護施設への入所手続きや医療に関する契約代行といった身上監護はできません。これらが必要な場合は、成年後見制度との併用も選択肢の一つとなります。
これらの注意点を踏まえ、自分に合った制度について早期の準備と専門家との連携を検討していきましょう。
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