公開:2026.10.28

AI市場の不穏な動き~株価急落の構造~【トレンド+plus】

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2026年10月現在、日経平均株価に大きな下げ圧力が働いています。
10月半ばに何度か大きな下落幅を記録しました。その主な震源地は米国であり、日本のAI半導体市場の見通しにも暗雲が垂れ込めています。

「AIバブル」の仕組み

高性能な画像処理半導体を使いAI向け計算サービスに特化した「ネオクラウド」と呼ばれるものがあります。ネオクラウドは大手AI企業を顧客にして、その計算処理を請け負うデータセンター事業などを行っています。最近は、AI需要が急拡大して、データセンターが足りない状況、つまり需要超過=供給不足が起きています。データセンターで大量に使用される半導体も不足し、ここ1年間で急激な価格上昇も起きています。

この動きは、日本のAI・半導体企業の株価が上がる一因になっているようです。
データセンター需要が世界的に高まれば、日本や韓国を含む各国での半導体価格を押し上げて、事業者の利益拡大に貢献するとみられてきました。現に日経平均株価も6月半ばに7万2千円台をつけました。その時期の上り幅を「AIバブル」という人も多かったと思います。

AI・半導体市場に潜む変調の兆し

今、変調が起こっているのは、ネオクラウド事業の投資採算が危ぶまれていることです。2026年9月末から10月頭にかけて、米国の長期金利が一時5.3%まで上がり、社債調達コストの増加が、投資の利益に見合わなくなるのではないかというささやきが聞こえました。ネオクラウド事業者が投資を手控えれば、半導体メモリーの需要が減り、日本や韓国のメーカーの絶好調の業績にも不安がよぎります。

もう1つの要因は、最近の不正アクセスと関係しています。
企業に対する不正アクセスは、多くの情報漏洩を伴っています。
誰がそれを仕掛けているかと言えば、AIを使ったサイバー攻撃です。ここ数ヶ月、米国では大手AI企業の経営者が相次いで、AIモデルの開発方針を見直す可能性について示唆しています。これは、特にAIエージェントを使った自律的なサイバー攻撃などに配慮して、AI開発を進めるというアナウンスです。わかりやすくするために「AIの開発速度を遅らせる」と表現されることもありますが、これは単に研究や新モデル開発の頻度を落とすという意味ではありません。新モデルの公開を、その安全性がしっかりと確認できるまで控えることを意味しています。

いずれにせよ、ネオクラウドのデータセンター投資のペースが落ちて、半導体需要が従来よりも低下することになりかねません。半導体メーカーなどの株価下落は、不正アクセス問題への対応が回り回って、半導体需要を落とすことにつながりかねないという連想も遠因になっているようです。

現時点ではデータセンター需要そのものに悪い変化は起こっていません。米国などのAI・半導体関連企業の決算も好調です。
問題は、現在までの好調さが将来にわたって継続できるかどうかでしょう。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

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