公開:2026.09.07

新NISA口座の実態とFPの関わり方【トレンド+plus】

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新NISAの状況と実態

2024年1月に新NISA制度が始まってから、2年半が経ちました。改めて、この制度をみて、個人の資産運用には大きな課題があると感じます。本稿では、問題を絞って1つだけ筆者が取り上げたいと思います。

金融庁が実施した「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」によると、2025年12月末のNISA口座数は約2,820万口座となっています。新NISAになってから増加率は約33%(約696万口座)です。1人1口座と考えて、「国民の約4人に1人」がNISA制度を利用している計算です。

しかし、NISA口座を持っている人は十分に資産運用をしているのでしょうか。
金融庁のデータを調べると驚くべき結果が載っています。なんと、口座の約4割(37%)が1年間未稼働となっています(図表)。

図表■NISA口座の利用状況内訳(2025年12月末時点)

出所:金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」を基に日本FP協会作成

話題にのってNISA口座を作ったけれども、「実際、何に投資すればいいのかわからない…」と途方に暮れている人の姿が筆者の目には浮かびます。新NISAの開始にあわせて「よし、資産運用を始めよう」と意を決したものの、元本割れが恐ろしくて投資を始められなかった人もいるのでしょう。

資産運用に踏み出せない層にFPはどう寄り添うか

未稼働の口座の割合を見て、「資産運用をしないなんて考えられない」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、思い出してみてください。初めて、株式や投資信託を購入したときのことを。筆者は2000年にネット証券で運用を始めましたが、思い返してみると、パソコン画面のボタンを最初に押すときは恐ろしかったです。未稼働のNISA口座を保有する約1,000万人の人も同じ気持ちなのです。始めようと思っても、怖くて手が出せないのでしょう。

もう1つ驚くのは、残高が1円から60万円未満の口座が35%もあることです。これも人数に換算すると約1,000万人です。
つまり、NISA口座を保有している人の72%にあたる約2,000万人は、口座が稼働していないか、残高が60万円未満なのです。
これらの人々は、いわば運用の初心者で、価格変動リスクの前で立ち往生しているのでしょう。
しかし、その中には積極的に運用したり、マーケットのことを詳しく知りたいと思っている人がいるはずです。気持ちはあるにも関わらず今は立ち往生している人がいるのならば、そのときがFPの出番なのではないでしょうか。信頼できるアドバイザーがいて、その人が伴走してくれるのならば、資産運用に対する心理的ハードルはきっと下がるはずです。

もし、相談者から「他の人はNISAを始めて、何に投資しているのでしょうか?」と聞かれたときにはどう答えますか。
それに答えるための一つの参考資料として、日本証券業協会が実施している「NISA口座の開設・利用状況」という調査があります。この資料を見ると、投資している商品の種類の上位は、軒並みインデックス型となっています。要するに、複雑なもので運用しているのではなく、手数料が安く、分散投資によって個別企業の業績の変動を回避しようとする人が多いのでしょう。「投資は難しい」という先入観は、初心者には誰にでもあります。しかし、実際は複雑で難しいものは投資に踏み出した人の多くに敬遠されているのです。

もちろん、投資の難しさは存在します。その1つが投資のタイミングを考えることです。その難しさに対しては、時間を置いて一定期間ごとに少額投資を積み重ねる「時間分散」が有効なので、NISAでの積み立て運用を奨励しているのです。
このようにデータを紐解いて説明すると、「投資は難しい」と感じて立ち往生している人の心理的ハードルを下げられると思います。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

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