公開:2026.10.20

「死後離婚」後、遺族年金や遺産相続の権利はどうなる?

死後離婚後の遺族年金、遺産相続

姻族関係終了届を出すと「死後離婚」が成立しますが、成立後も本人と亡くなった配偶者との関係には影響はなく、遺族年金は受給し続けることができます。

遺族厚生年金の受給権を失うのは、

  • 受給者が死亡したときや婚姻したとき
  • 直系血族や直系姻族以外の者の養子となったとき
  • 離縁で死亡した人との親族関係が終わったとき

に限られます。「死後離婚」はいずれにも該当しないため、遺族年金を受け取れるのです。

遺産相続の権利も同様です。相続は被相続人が亡くなった時点で開始される(民法882条)ため、被相続人が亡くなった時点で配偶者であれば、姻族関係終了届の提出に関係なく相続権は消滅しません。なお義実家(義父母)の遺産については、養子縁組をしていない限りもともと相続権がないため、届出による変化はありません。

図表 姻族関係終了届で「変わらない権利」と「失う権利」

届出前届出後
遺族年金受給できる変わらない
亡くなった配偶者の相続権相続人として確定済み変わらない
子どもの義父母からの代襲相続権あり変わらない
義父母の遺産の法定相続権なしなし
義父母らへの扶養義務原則なし(家裁の審判による例外あり)例外もなし
義父母らへの特別寄与料請求介護をしていれば請求できる請求できない
墓の管理・法要の主宰(祭祀承継)慣習または指定で決まる変わらない(自動的には外れない)
出所:日本FP協会作成

姻族関係終了届を提出するメリット・デメリット

姻族関係終了届を提出するメリットが大きいのは、義家族との深刻な対立があり、将来の扶養問題や親族としての干渉に明確な区切りをつけたい場合です。そのようなケースでは、姻族関係の終了によって、義父母への扶養義務を負う余地がなくなります。また、届出によって義家族と親族として関わらない意思を明確にでき、法事などの親族行事をめぐる干渉や役割の押し付けを断りやすくなります。

一方で、義家族からは「縁を切られた」と受け止められ、人間関係が悪化する可能性がある点がデメリットとして挙げられます。
さらに、子どもが本人と義家族の対立に巻き込まれたり、祖父母の遺言や贈与で不利益を被ったりするおそれもあるでしょう。姻族関係終了届を提出して死後離婚をする際には、子どもの理解を得ることも大切です。

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