公開:2025.07.18

更新:2025.07.02

デジタル遺品対応の最新実務ガイド(下)

「デジタル終活」のススメ

社会のデジタル化が進み、自らが保有するデジタルデータの整理はどんな人にも欠かせないものとなりました。残された人にデジタル遺品の整理で苦労させないために、ログイン情報のリスト化や不要なデータの削除といった「デジタル終活」を計画的に進めることが重要です。

デジタル終活のポイントになるのは①ログイン情報のリスト化②不要なデータの整理③契約している有料サービスの見直しの3つです。PCやスマホ、webサイトやSNSなどにログインするためのIDとパスワードをそれぞれリストアップし、サービスごとにメモしておくと、残された人が解約・引き継ぎなどの手続きをスムーズに進められます。また、写真や動画などのデータ整理や、不要なサービスの解約は定期的に進めておきましょう。

また、AppleやGoogleではユーザーの死後にアカウントへアクセスできる人を事前に登録することも可能です。SNSに関しては、アカウント所有者の死後は削除となるのが一般的ですが、場合によっては故人をしのぶことを目的に「追悼アカウント」として残すこともできます。手続き方法は各サービスによって異なりますので、サービスごとに確認が必要です(図表)。

図表 スマホやSNS、各プラットフォームのユーザー死後の対応(一例)

スマートフォンの引き継ぎ
iPhone・AppleIDのパスワードをパスワード管理アプリに保存していればスムーズに引き継ぎ可
・パスワード不明な場合、Appleサポートに死亡証明書、相続関係の証明書類を提出
androidGoogleアカウントの「アカウント無効化管理ツール」に故人があらかじめ設定し、指定した人物にデータアクセス権を付与
SNSアカウントの対処法
Facebook追悼アカウントに変更、または削除(申請には死亡証明書が必要)
X(旧Twitter)削除可能(近親者からの申請書、死亡証明書、申請者の身分証明書などが必要)
LINEアカウントアカウントの引き継ぎは不可(重要なトーク履歴は、端末からバックアップを取得)
Instagram追悼アカウントに変更可能(故人との関係を証明する資料の提出が必要)
クラウドサービスの管理
Googleドライブ法定相続人の申請により、写真・文書の引き継ぎ可能
Dropbox
サブスクリプションサービスの管理
amazonアカウントは譲渡不可。死後処理には死亡証明書、遺産管理者の証明書類、メールアドレス、最終購入情報などのアカウント情報などが必要
Netflixアカウント情報が不明の場合、故人のメールアドレスや支払い情報などをカスタマーサポートに連絡すれば解約可
YouTubeYoutubeサービスを提供しているGoogleの「故人のアカウントに関するリクエスト」からアカウント閉鎖などの手続きが可能(所定の書類が必要)
出所:各社ホームページ等を参考に日本FP協会作成

エンディングノートの活用を

残された人がデジタル遺品の整理を進めるには、①端末や各種サービスへのログイン情報、②登録しているサービスの内容、課金の有無、③写真や文書など各種データの保管場所、④それぞれの取り扱いについて(削除、引き継ぎなど)の希望、といった情報が必要です。これらを確実に引き継ぐには、エンディングノートの活用が役立ちます。

エンディングノートは手書きで作成してもかまいませんが、できればWordやExcelなどで作成し、できあがったらパスワードを設定することをお勧めします。こうしておけば、外部への流出や誤読などを防ぐことが可能です。

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