公開:2025.11.14

他人事ではない「介護離職」……その前に活用したい支援制度

増加傾向にある「介護離職」

高齢社会の到来とともに日本の「介護離職」の増加が問題視されています。総務省が公表した令和4年就業構造基本調査によると、介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人は、2017年では9.9万人でしたが、2022年は10.6万人に増加しました。

図 介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人数の推移

出所:総務省「令和4年就業構造基本調査」

介護と仕事を両立するためのポイント

家族の介護や看護を担うのは働き盛りと言われる世代が多く、管理職など重要なポジションにいる層も少なくありません。突発的に必要になった介護や看護がそのまま長期間続くと、仕事との両立が困難になるケースもあります。

介護や看護には肉体的・精神的な負担だけでなく、経済的な負担もかかります。「金銭的な理由で十分な介護や看護ができなかった」と後悔する前に、今ある制度をうまく使って仕事と両立できる体制を整えることが重要です。

介護や看護で活用できる主な制度として、育児・介護休業法に基づく「介護休業」と「介護休暇」が挙げられます。

  • 介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できる。長期的な介護体制を整える際に利用される
  • 介護休暇:対象家族1人につき年5日まで、時間単位(※)で取得できる。突発的な介護や病院の付き添いなどに利用しやすい

※半日/時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者について、半日/時間単位での取得を除外する労使協定を締結している場合、対象の労働者は1日単位でのみ介護休暇を取得可能。

2025年4月1日からは介護離職防止のため、仕事と介護の両立支援制度に関する個別の周知・意向確認、雇用環境整備などの措置を取ることが、事業主に義務付けられました。よって、短時間勤務やフレックスタイム、時差出勤、介護費用の助成措置のいずれかを利用しやすい環境が整いつつあります。

こうした制度を利用したうえで職場の理解や協力を得ることや、介護保険制度を利用して、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどの介護サービスを組み合わせることも重要です。介護に関する課題を自分で抱え込みすぎず、周囲の人や制度を頼りながら、仕事との両立を図りましょう。

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