FPトレンドウォッチ
2026.10.07
注目を集める新窓販国債を読み解く【トレンド+plus】
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公開:2026.10.07
長期金利の上昇で国債投資の魅力が高まっていることは、FP Journal Onlineでも何度か取り上げてきました。今回は、国債の中でも償還期間10年の新窓販国債に注目します。
2026年9月募集の「新窓販国債10年」の利回りは、2.943%(税引前)と、以前に比べるとかなり高い水準です。市場の変動で決まる長期金利が3%を超えてきており、新窓販国債の利回りもその影響を受けているようです。ここ数年、こうしたインカムゲインを得られる金融商品の中で、利回りが3%近くある円ベースの商品はほとんどありません。
なぜ、3%に注目するかと言えば、インフレ率=消費者物価指数(総合)の前年比よりも高いからです。
2026年1~8月のインフレ率は1.3~1.9%です。それを上回れる利回りがあるのは、個人向け国債・変動10年で1.95%(9月募集)、東証プライムの株式配当利回りでも2.17%(8月)などがありますが、いずれもわずかにインフレ率に勝っている程度です。
それに対して、固定10年の新窓販国債は2.943%と高くなっています。
なぜ、新窓販国債が注目されているのかというと、利率が単にインフレ率を上回っているからだけではなく、今後10年平均で期待インフレ率を上回ってきているからです(図表)。
出所:日本相互証券金利情報を基に日本FP協会作成
これまでは、期待インフレ率が実際の物価上昇を下回っていましたが、2026年に入ってこの関係が変わって、期待インフレ率>インフレ率となっているのです。つまり、インフレ率が今後10年かけて高まっていく予想に変わり、長期金利がその予想を織り込むかたちで上昇するようになったのです。
このことは、債券マーケットで取引したことがある人でないと見えにくい現象かもしれません。長期金利は期待インフレ率+物価連動債利回りで決まります。日本相互証券のデータを調べると、期待インフレ率は数年かけて段階的に高まって、今では2%台に達しました。物価連動債利回りも徐々に上がって1%前後です。
実際に投資先として、10年の新窓販国債を考えるとき、投資の開始時期が重要です。固定金利ですから、長期金利のピーク時に投資を開始するのがベストです。しかし、株式投資とまったく同じように、「ベストのタイミングを選ぶこと」は不可能です。
理屈を考えると、景気がピークアウトする手前が長期金利のピークです。期待インフレ率は、景気が過熱するときに最も上がります。日銀は、そうした景気過熱を防止しようと、段階的に利上げを進めます。2026年9月時点での政策金利が1.25%で、専門家の中には2027年半ばくらいを目処に、政策金利を2.0%程度まで引き上げていくつもりという人もいます。仮にその主張どおりとなるならば2027年半ばから後半が長期金利のピークという捉え方もできますが、実際どうなるか確実なことは誰にもわかりません。
ピーク時点がわからなければ、定期的(例えば3か月ごと)に少額ずつ投資を分けて行うのがよいでしょう。時間分散というテクニックです。そして、日銀の利上げが終了し、長期金利が低下し始めたならば、分散投資を停止します。そうすれば、保有国債の平均利回りは、ベストではないとしても、「まずまず高い利回りで投資できたかな」というくらいのパフォーマンスが得られるのではないでしょうか。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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