公開:2026.08.10

銀行口座が突然停止? 金融機関が注視する「お金の動き」

鍵を握るのは「マネロンガイドライン」

名義人の死亡や債務整理ではなく、「お金の動き」が原因で口座が凍結されるケースが増えています。背景にあるのが、金融庁が2018年に策定した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(マネロンガイドライン)」です。このガイドラインでは、犯罪収益の出所を隠すマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぐため、金融機関が守るべき基本的な考え方を示しています。

策定・強化の大きなきっかけは、各国のマネロン対策を相互審査する「FATF(金融活動作業部会)」の指摘です。2021年8月に公表された第4次対日相互審査で、日本は先進国としては不合格に相当する「重点フォローアップ国」と評価されました。現在はその運用フェーズにあり、2028年には第5次審査も予定されているため、チェック体制は今後いっそう厳格化する見通しです。

こうした流れを受けて金融機関には監視強化が求められており、疑わしい取引への対応が厳格になったことが、一般利用者の口座の利用制限などにも波及しています。

金融機関が注視するポイントとは?

金融機関には、犯罪収益移転防止法に基づき、口座開設時の本人確認や取引記録の保存に加え、「疑わしい取引」の届出が義務づけられています。警察庁の報告書によると届出件数は増加傾向にあり、2025年度は100万件を超え過去最多を更新しました。

図 疑わしい取引の年間通知件数(平成28~令和7年)

出所:警察庁「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和7年)」

届出の判断にあたり、金融機関は主に以下3つの仕組みで取引を注視しています。

図表 金融機関が用いる3つの監視の仕組み

仕組み概要
取引モニタリング過去の取引履歴や顧客の属性をもとにシナリオやしきい値を設定し、それを逸脱する取引が発生した場合にアラートを出す
取引フィルタリング取引相手が制裁対象者や反社会的勢力のリストに該当しないか、送金先が監視強化対象の国・地域ではないかを事前に照合する
口座の実態確認口座の名義人と実際の利用者が一致しているかを確認するもの。架空名義やなりすましの検知に加え、近年はIPアドレスや端末情報など非対面取引に対応した検知項目も拡充されている
出所:日本FP協会作成

最終的には顧客の属性や取引時の状況などを総合的に勘案し、届出の要否が判断されます。

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