公開:2025.12.19

上昇を続けるエンゲル係数、家計への影響は?(下)

エンゲル係数の推移から何を読み解ける?

エンゲル係数の推移から読み取れるものの一つに、経済格差の拡大があります。賃上げなどにより可処分所得が増えても、物価上昇によって消費に対する抵抗を感じるようになり、特に低所得者層を中心に生活防衛意識が高まっていると見られます。

また、リタイア後の高齢世帯では、公的年金や貯蓄の取り崩しが主な収入になりますが、食費は現役時代と比べて大きく減少しません。そのため、高齢世帯の増加が全体のエンゲル係数の押し上げにつながっているとも考えられます。

家計別 食費との向き合い方

では、食費を抑えるうえでどのような点に着目すればよいのでしょうか。世帯のタイプ別に解説します。

図表 世帯のタイプ別 食費見直しのポイント

単身世帯外食・中食の頻度見直し
子どものいない共働き世帯時短と節約のバランス、食品ロス削減
子育て世帯子どもの成長に合わせた食費配分
高齢世帯健康重視の質の確保、購入する分量の工夫
出所:日本FP協会作成

単身世帯では、外食や中食の頻度を見直しましょう。手軽さを優先しがちですが、自炊の回数を増やすだけで食費を大幅に抑えられます。週末にまとめて作り置きをする方法も効果的です。

子どものいない共働き世帯では、時短と節約のバランスが重要です。便利な調理家電を活用しながら、食品ロスを減らす工夫が大切です。計画的な買い物でムダを省きましょう。

子育て世帯では、子どもの年齢に応じて食費も変動するため、成長に合わせた食費配分を考える必要があります。食材の買い方や調理方法を工夫し、質を保ちながら無理のない範囲で節約を心がけましょう。

エンゲル係数が高くなりがちな高齢世帯では、無理な食費の節約は健康を損なうおそれがあります。質を確保しながら使い切れる量を購入し、食品ロスを防ぐことが重要です。

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