FPトレンドウォッチ
2026.01.21
パフォーマンスから見る世界株式と日本株式【トレンド+plus】
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公開:2025.11.19
更新:2025.11.28
「人類が自ら創造したロボットやAIによって滅亡の危機に瀕する作品は?」と聞くと、人によって多様な答えが返ってくると思います。創作物の「王道」ともいえるストーリーが、現実になろうとしているのかもしれません。
最近、米国に行って、当地のFPの重鎮たちに話を聞く機会がありました。そこでは、まさしくAIがFP業界の脅威になろうとしているという話題で大盛り上がりでした。AI先進国の米国でAIはどのような立ち位置にあるのか、またFPにとってAIはどのような存在なのか、筆者の私見も交えて現地の声をご紹介します。
米国の若い人たちは自分でチャットボットを使いこなし、わからない疑問は何でもAIに答えてもらおうとするようになっています。運用のポートフォリオの組み方もAIに指南を受けることがあるなど、FPに頼るよりも先に「そうだ。チャットボットでAIに聞いてみよう」と思うみたいです。
また、インターフェイスがAIアバターになって、顧客の質問に答える世界も遠くないようです。実際に米国では、人間が話しているのか、AIなのか区別が付かないレベルのAIアバターが生み出されています。この手の話は、FP業界に限らず、多くの職種の関係者の間で脅威になっているようです。
AIのインパクトに恐れを抱く根拠は、FPの事業者自身がすでにAIを使って事務作業を効率化しているところにもあります。資料づくりは、ChatGPTなどを使って迅速に完成できます。AIを使いこなすと、事務所のスタッフは少数でも回せます。同様に、ホワイトカラーの事務にはAIで効率化できる分野が多く、情報収集や文書要約、資料作成で格段に作業が易しくなっているという声が多くありました。これが、FP事務所で採用する人数を削減し、世界中のFP組織にとっても会員数を漸減させる圧力になっているという考え方もあるようです。
では、AIが隆盛する未来はFPにとって陰鬱なものになるのでしょうか。
「FPが居なくなる」論には、有力な反論もあります。顧客相談は、あくまで人と人とのつながりの仕事だから、そうした信頼関係までAIで取って替わることはできないというものです。そもそも、AIはツールに過ぎませんから、完全にFPが居なくなることにはなりません。FPの作業を効率化することは、FPの消滅を意味しません。FPの中にはAIを駆使して業務を拡大する者も多いはずという見方です。
「FPはいなくなる」のではなく、「FPは効率化される」のです。そして、AIとうまく共生して生き残ったFPは、AIと手を取り合って1人当たりの成果・報酬を増やすという見方も成り立ちます。
一方で、効率化の陰には人員の削減が見え隠れします。問題は「FPの人数がどのくらいまで少なくなるか?」という点です。
AIを使って自分でライフプランの検討や運用方針を決められる若い世代の生活者が育っていけば、市場規模は小さくなるはずです。FP業務をどこまでAIを使って高度化して、市場規模を膨らませるか、つまりAIの代替効果と所得効果(市場を創る作用)の大きさが焦点になってきます。
筆者にとって、思い出されるのは、日本で同じような議論を2000年代初頭に聞いた記憶です。当時は、インターネット証券が1990年代後半から米国で拡大して、日本でも存在感を高めていた時期でした。
伝統的な証券業界では、インターネット取引が勃興しても、主に中小証券会社が取り組んでいる対面取引はなくならないという考えが多くありました。その根拠は、顧客との取引関係があくまで人対人で結びついているということです。
あれから20数年間が経過し、結果として市場は大きくネット証券にシフトしました。過去に恐れられていた未来図は、すでに現実のものになっているのです。
米国のFPの重鎮たちが語っていた懸念は、暗黙のうちにこうした歴史をイメージしているのでしょう。米国で起きていることは、5~10年遅れで日本にも上陸してくると想像できます。AI先進国である米国のFPが語っていたメッセージは、日本のFP業界にも近い将来AI革命が上陸してくるから、それに備えよという警告なのです。
筆者が聞いた限りでは、AIにどのように対抗し、共存していくかはまだ米国でも手探りのようです。AIとの向き合い方を考えるという課題こそが世界のFPに共通した問題なのだと思います。
(下)では、AI革命がFPにどう影響をもたらすか、また革命下でFPがどう生き抜くかを筆者なりに整理し、ご紹介します。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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