公開:2025.08.28

【家計管理】「1週間家計管理」で成功体験を!(前野彩氏)

ベテランのFPや経済の専門家が、FPに関わるさまざまなテーマやトピックスについて、全6回にわたり解説します。「家計管理」第3回目は、ストレスなく予算内で生活できるようになる「1週間家計管理」を紹介します。

家計管理が“ダメ出し”になっていませんか?

毎月の予算を決めて生活したいのに、なかなかうまくいかない……。 そんな悩みを抱える人がたくさんいらっしゃいます。でもそれは「ズボラな性格のせい」ではありません。ただ、家計管理の方法がわからないからうまくいっていないだけなのです。


例えば、家計簿が自分への“ダメ出し”になっていませんか? 1月分のレシートの山と格闘した後に、使い過ぎた支出を一生懸命探し、反省点や改善点を考える……というのは、楽しい作業ではないでしょう。


また現在、食費6万円で生活している人が、いきなり「4万円でやりくりしよう!」と頑張っても、絶食ダイエット式の引き締めは長期間続きません。当然、予算内では生活ができず、「ああ、やっぱり私はダメなんだ」と失敗経験になって、挫折してしまうケースも多いのです。ダメ出しや失敗経験ばかりでは、家計管理の意欲を保つことは難しいのです。

「1週間家計管理」なら、生活に合わせやすい

そこで私が提案するのが、家計を「1週間予算」で管理する方法です。 家計管理というと通常、月1回の給与をもとに1カ月単位で考えます。ただし、1カ月で家計を管理すると最初のうちについ使い過ぎてしまって、後半に「何かあったときに困るから、ATMで少し引き出しておこう」と、せっかく決めた予算が崩れてしまう場合が少なくありません。一方で、1日単位で細かく管理をすると、今度はまとめ買いができなくなったり、お財布の残高が気になり過ぎたりして、お金を使うこと自体がストレスになってしまいます。


私たちの生活は、1週間単位で回っていませんか? 月曜から金曜は仕事や子どもの学校があり、週末の土日はまとめ買いをしたり、家族でレジャーに出かけたりするでしょう。そこで、この1週間のリズムにお金の管理を合わせます。


また、家計予算を1週間単位で管理する方法なら、食品と日用品を一緒に買い物した後に、費目の仕分けで悩むこともありません。レジャー費を使い過ぎた日があれば「その分、食費を抑えよう」と予算の中で融通をつけられます。1週間後に予算内で収まっていたら「私ってすごい!」と、苦手な家計管理を成功体験に変えていくこともできます。「使わないようにしなきゃ」ではなく、「使い切ったら大成功!」となるのが、1週間家計管理なのです。

管理する費目を明確に

1週間家計管理を成功させる1つ目のポイントは、「費目を明確にする」ことです。

1週間単位で管理するお金は、食品や日用品などを購入する、生きていくために必要なお金と、レジャー費などの家族で使うお金(図表1)です。

口座引き落としが多い家賃や子どもの教育費、クレジットカード払いに設定している水道光熱費や通信費、保険料などの固定費は除き、自分の意思でその都度支払い方法を選べるお金を、家計費として1週間で管理します。

月単位で管理する「おこづかい」と年単位で発生する特別支出は、最初から1週間予算と分けて管理をしましょう。

図表1 週間・月間・年間管理のお金

1週間管理1カ月管理1年管理
主な支出食費、日用品、レジャー費、医療品おこづかい特別支出
支出の目的生活に必要なお金、家族で使うお金個人の楽しみとして使うお金誕生日や正月などの季節のイベント、税金の支払いなど
管理方法予算の範囲に収まれば、どの支出が多くてもOK。1週間で帳尻を合わせる使うときと使わないときの差があっても、1カ月で収まればOK支出の時期と金額を予定して、その中で収まればOK
出所:『本気で家計を変えたいあなたへ<第6版>』(前野彩著・日経BP 日本経済新聞出版)を基に前野 彩氏作成

そして2つ目のポイントは、「現金で管理する」こと。 キャッシュレス化やポイ活が進んでいますが、家計管理が苦手な人こそ、キャッシュレス決済を1カ月封印してみてください(水道光熱費や通信費など定期的なカード払いはそのままでかまいません)。1週間分の現金を手元に用意して、「無くなったら終わり」のほうが視覚的にも、実感としてもわかりやすくて簡単です。

私がお勧めしているのは、6個のポケットがついたウォールポケット(図表2)に週ごとに予算を分けて、ごほうびポケット(後述)と共に管理する方法です。封筒に1週間分の現金を入れておく方法もありますが、ウォールポケットに入れておくほうが「このお金で1週間生活すればいいんだ!」と、予算全体を「見える化」できて、家計管理の意欲向上にもつながります。

図表2 ウォールポケットの例

出所:『本気で家計を変えたいあなたへ<第6版>』(前野彩著・日経BP 日本経済新聞出版)

さっそく「1週間家計管理」を始めてみよう!

【1週間家計管理の手順】
(1)1週間の予算を決める
(2)1カ月の家計費予算を現金で引き出す
(3)1週間分ずつウォールポケットに分ける
(4)1週間が始まったら、その週の予算を家計用の財布に入れて使う
(5)使い切ったら大成功! 余ったお金はごほうびポケットに入れて最終週に使う

初めて行うときの予算は、現在の生活費から考えます。1週間の始まりは、仕事に合わせた月曜日が一般的ですが、週末のまとめ買いに合わせた土曜日始まりなどもOKです。なお、給料日や月末で締めようと思ずに、「生きている限り1週間は続く」ぐらいの大らかな気持ちで始めてください。

1週間家計管理の予算は、「1カ月予算÷30日×7日」で計算します。

例えば、月の家計予算が6万円の場合、1週間の予算は、6万円÷30日×7日=1万4,000円。4週の月は、1万4,000円×4週=5万6,000円を引き出します。また、日曜日が5回ある月なら7万円を引き出して、1週間分ずつウォールポケットに入れます。そして、その週が来たときに、1週間分の予算を家計用のお財布に入れて生活しましょう。

この管理法を提案すると、ご相談者からよく「足りなくなったときにどうするの?」という質問を受けます。足りないときは、翌週の予算を前借りして使います。そうすると次の週は、前週に使い過ぎた反省もあり、少ない予算でもなんとか頑張れるもの。そして1週間後に余りが出たら、それは「ごほうび」として楽しく使いましょう。

なお、予算内で生活できない週が続くときは、予算目標が高過ぎて、無理が生じているのかもしれません。そんなときは焦らず、生活費予算にゆとりを持たせてください。そして予算内で生活できる成功体験を重ねてから、少しずつ週の予算を調整していきましょう。


「1週間家計管理」を始めた人からは、「想像していたより予算内で収まる!」という驚きの声や「意外とムダ遣いしていたことがわかった!」といううれしいお声を頂戴します。費目分けや月末の締め日などにとらわれず、「このお金で1週間やりくりすればいい」というシンプルなルールだからこそ、気持ちよくお金を使って家計管理ができる点が「1週間家計管理」のいいところ。

ちなみに、1週間で1,000円予算をカットできると、1年間で5万2,000円の貯蓄が手に入りますよ。

予想外の支出やキャッシュレス決済は?

計画的な管理をしていても、必ず発生するのがイレギュラーな支出です。

例えば「急に子どもが『体操服が破れた』と言ってきた」という場合。そもそもこの支出は、食費・日用品・レジャー費・医療費などの1週間予算には該当しない支出ですから、1週間予算の中から捻出してはいけません。こんなときの奥の手が「封筒金庫」です。

「封筒金庫」とは、千円札で5万円ほどのお金を入れた封筒のこと。イレギュラー支出に対応できるように、1週間家計管理のお金とは別に用意しておくと、「何かあったら」という不安が解消できます。

また最近は、現金とキャッシュレス決済の支払いが混在して、結局いくら使っているかわからないという悩みが非常に増えました。先にも述べたように、「お金を使っている」という感覚を取り戻すためにも一度は現金管理を体験してほしいのですが、どうしてもキャッシュレス決済となるときは、2つの方法があります。

1つは、後払いのクレジットカードで使った金額を1週間の予算から取り出して、「クレジットカード払い用封筒」に入れる方法。手持ちの現金を減らしつつ、1カ月の最後に封筒の中のお金をカードの引き落とし口座に入金してください。もう1つは、プリペイドカードなどを利用してチャージ式のキャッシュレス決済で1週間管理を行う方法です。自分の生活スタイルに合った方法を選びましょう。

「1週間家計管理」は、週の予算を使い切ればそれだけで大成功です。この成功体験を続けられるように、適切な生活費予算を決めて楽しくお金を使えるようになってください。

次回の【家計管理】分野は、『価値観を確認する「幸せ温度計」ワーク』について解説します。
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お話を伺った方

CFP®認定者、株式会社Cras代表

前野 彩 氏

J-FLEC認定アドバイザー、MBTI認定ユーザー。中学校・高校の養護教諭から2001年FPに転身。2008年にFPオフィスwillとして独立、2014年に株式会社Crasを設立。金融商品を扱わない独立系FPとして個人相談を中心に活動。近著『本気で家計を変えたいあなたへ〈第6版〉~書き込む“お金のワークブック”~』(日経BP日本経済新聞出版)をはじめ、著書は全21冊。

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