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【社会保障】公的年金とiDeCoで最強の自分年金を作る(井戸美枝氏)
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公開:2025.12.02
更新:2025.12.15
「介護・施設」の第1回目は、高齢者施設に関する情報の必要性や、更新しておきたい知識などについて解説します。
私はこれまで、400回近く高齢者施設の見学をしてきました。FP仲間と研究会を作って見学や勉強会を重ねた時期もありましたし、FPの方々をお誘いして施設を見学する活動も続けています。そうした中で私が強く感じているのは、「FPの方々に高齢者施設について知っていただきたい」ということです。
老後についてお金の不安を持つ人は多いですし、終活についての関心も高くなっています。しかし自立した生活が難しくなったり、介護が必要になったりした場合の暮らし方や費用については、具体的に考えられていないことがほとんどです。
将来のことや、介護が必要になるかどうかを正確に予測することはできません。とはいえ、老後のプランニングは「自立」をベースとしたものだけではいけないと思っています。なぜなら、介護破産しそうな方からの相談も増えているからです。「在宅介護が難しくなってきたので施設に入りたいが、お金がない」「有料老人ホームに入所したけれど、毎月の費用が払いきれない」など、さまざまな問題が生じています。
高齢期の住まいをどう考えるか。どのような施設があり、どのくらいの費用がかかるか。老後のプランニングには、そうした高齢者施設の知識が欠かせません。そのためには、高齢者施設についての情報を得ておく必要があるでしょう。
介護について考えるのは楽しいことではありませんが、漠然と不安を感じながら生きるより、考えておいて安心して過ごすほうがいいように思います。医療は最適な治療法を自分で選びにくい面がありますが、治療期間は長くないケースも多い。一方で、介護はスタートすると亡くなるまで終わらないという特徴があるものの、事前に準備して自分で選ぶことができます。FPにはそのお手伝いができるでしょう。
高齢者施設について、知識が古くなっていたり、イメージが昔のままだったりすることも少なくありません。
たとえば「特別養護老人ホームに入所できるのは要介護3以上。安いため入所待ちが多い」と思っていませんか?
要介護3未満でも、地域や事情によっては特別養護老人ホーム(以下、特養)に入所することができます。認知症で日常生活に支障あり、独居や同居家族が要介護・重病などで介護力がなく、かつ地域の在宅サービスが不足している場合などです(厚生労働省による指針)。
また、たしかに順番待ちの例もありますが、都市部を除けば入所待ちの状態にはなっていない施設もあります。
特養は安いというのも実際とは少々異なります。資産が一定基準を超えていると、補足給付が受けられないからです。補足給付とは、所得や資産などが一定以下だった場合に負担限度額を超える居住費、食費が介護保険から給付される制度です。
図表1は補足給付から外される資産額の一覧です。年金収入などが120万円を超える方の場合、単身者では資産額が500万円超、ご夫婦では資産額1,500万円超では補足給付が受けられません。一定の資産があると、補足給付が受けられない、つまり自己負担が多くなります。そのため、必ずしも特養は安いとは言い切れないのです。地域によっては、特養の費用に1~2万円上乗せすれば、有料老人ホームに入所できるケースもあります。そうしたことをFPが理解しておけば、相談者の選択肢を広げることができます。
| 収入基準 | 単身者 | 夫婦 | ||
|---|---|---|---|---|
| 2021年7月まで | 2021年8月から | 2021年7月まで | 2021年8月から | |
| 年金収入など合計所得額が80万9,000円以下 | 1,000万円 | 650万円 | 2,000万円 | 1,650万円 |
| 年金収入など合計所得額が80万9,000円超120万円以下 | 550万円 | 1,550万円 | ||
| 年金収入など合計所得額が120万円超 | 500万円 | 1,500万円 | ||
もちろん、有料老人ホームなど、施設によっても費用は大きく異なります。介護が必要になってから必要になる金額は千差万別であり、平均的な介護費用を計上するだけではライフプランは具体性に欠けてしまうのです。
老後のプランニングをする際に念頭に置いておきたいのが、「高齢者施設は住み替えが必要になることもある」、ということです。
1つは、医療行為が必要になることで住み替えが必要になるケースです。
Aさんは要介護1のときに住宅型有料老人ホームに入所されました。しかし、ご病気で入院し、胃ろうを造設されました。退院後は入院前の施設に戻ることを希望されましたが、そこでは胃ろうへの栄養注入の措置を行っていません。そのため、胃ろうへの栄養注入が可能な、看護師が24時間常駐する介護付有料老人ホームや特養などを探すことになりました。
どのような医療行為ができるかは施設によって異なります。たとえば認知症でも、現在では多くの有料老人ホームが受け入れをおこなっていますが、他の入居者に対する迷惑行為が頻発する場合は、対応不可などの例もあります。多くの施設ではホームページに重要事項説明書や医療の受け入れ基準などを掲載しており、そこで確認することができます。
もう1つは、自立した状態で施設に入り、要介護になったら別の施設に移るケースです。
Bさんは自立しているものの急病で倒れることへの不安がありました。そこでサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に転居。自立した生活を送りながら、時には食事の提供を受けたり、見守りのシステムを利用したりして快適に暮らしています。いずれ介護が必要になったら特養や介護付有料老人ホームに移るご予定です。
サ高住なら入居時の費用は数十万円。資金に余裕があれば、分譲型のシニアマンションも選択肢になります。お子さんが近居などで見守りの必要がない場合などは、管理が大変な一戸建てから利便性のいいマンションに住み替える、などの考え方もあります。
こういった住まい方、また必要性なども念頭におくといいでしょう。
高齢者施設は、「必要になってからでなく、早めに施設を探しておく」ことも大切です。
施設の情報を提供するサービスも複数ありますが、必要に迫られてから探し始めると、とにかくすぐに入れるところ、といった選び方になりかねません。そのような選び方は失敗や後悔につながることがあります。相談者の中には、「施設選びをしておいたほうがいいとアドバイスされたのに、後回しになってしまった。もっと早く動いておくべきだった」と後悔を口にされる方も少なくありません。
在宅介護を望む方や、在宅介護をされている方も同様です。
要介護度があがった、介護する人の体調が変化したなどで在宅介護が続けられなくなる可能性もあります。介護ヘルパーも不足しており、人口が少ない地域は特に在宅介護の環境が厳しくなっていくと予想されます。在宅介護を否定する気持ちはまったくありませんが、施設入所の可能性を排除せず、施設についても知っておいた方がいいと思います。
いい施設はたくさんあります。ケアマネージャーは多忙を極めており、民間の施設の情報までは把握しきれないのが普通であり、自分で情報を集めるしかありません。自分で探した人は満足度が高いものです。できれば65歳、遅くとも70歳から、施設探しをはじめることをおすすめします。
FPが地元や周辺の施設についての情報を持っていれば、情報提供ができ、相談者は候補を絞って見学に行ったり、比較検討したりできます。個人の方には、施設をどう選べばいいかがわかりにくいですし、実際の施設について情報を提供できる人はほとんどいません。それらのノウハウや具体的な情報を提供すると、とても喜ばれます。FPという職業の観点からいえば、ビジネスとしてぽっかり穴が空いている分野であり、FPの力が必要だと強く感じます。 いい施設はたくさんあります。亡くなる前の時間を過ごす場所ですから、満足度の高い施設を選んでいただきたい。その手助けができるFPが増えることを願っています。
CFP®認定者
畠中 雅子 氏
家計、保険、教育費、住宅など、幅広い分野で新聞、雑誌、WEBなどに多数連載。セミナー講師や講演、相談業務も行う。2002年から高齢者施設の見学を開始。住み替えなどのアドバイスも行っている。ひきこもりの子どもを持つ家庭に向けた「働けない子どものお金を考える会」なども主宰。
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