公開:2026.08.27

「国保逃れ」とみなされる基準は? 厚労省の示す見解に注目

厚労省が示した「名ばかり役員」となるケースとは

2026年3月、厚生労働省は「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」と題する通知を発出しました。

従来、法人役員の被用者保険加入は「業務が経営参画を内容とする経常的な労務提供であるか」「報酬がその対価として経常的に支払われているか」といった基準で判断されていましたが、「会費を払って形だけ役員に就く(名ばかり役員)」ケースを否定する基準は存在しませんでした。

今回の通知では、このグレーゾーンに明確な線引きがされ、役員報酬を上回る会費等を法人に支払っている場合、業務の対価に見合った報酬を得ているとは判断されません。

また、アンケート回答や勉強会参加といった自己研鑽にとどまるケースや、活動報告・情報共有のみで指揮監督や権限行使を伴わないケースなどは、経営参画には当たらないと明示されました。

個人事業主、マイクロ法人が知っておくべき判断基準

「社会保険料を合法的に削減できる」といったスキームへの加入を勧められたり、すでに加入していたりする場合は、「国保逃れ」に該当しないか次の3点を確認しましょう。

  • 法人へ支払う会費等が、受け取る役員報酬を上回っていないか
  • 役員としての職務実態がなく、肩書きだけになっていないか
  • 法人に事業実態がなく、保険料削減だけを目的としたものになっていないか

一方、自ら代表者として事業を行うマイクロ法人は、今回の通知がターゲットとする「名ばかり役員」とは構図が異なります。

図表 「国保逃れ」のスキームとマイクロ法人の違い

国保逃れマイクロ法人
基本的な仕組み他人が運営する一般社団法人などに、形だけ役員として加わる自分で法人(合同会社など)を設立し、個人事業と並行して運営する
目的保険料軽減実際に法人で業務を行う
お金の流れ低い役員報酬を受け取る一方、それを上回る「会費」を法人へ支払う法人の事業収益から、低めの役員報酬を支払う
役員としての職務実態勉強会参加やアンケート回答程度の関与法人の役員として組織運営や業務などに当たる
報酬の性質労働の対価ではなく、加入資格を得るための形式的なもの実際の労働・経営に対する対価
違法性違法性が高い事業実態が伴っていれば違法ではない
出所:日本FP協会作成

ただし、今後は法人役員の資格確認が厳格化される可能性もあるため、事業活動の実態や報酬水準の合理性などをあらためて整理しておくことが望ましいでしょう。

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