公開:2026.02.25

「FIRE」の4%ルールの落とし穴【トレンド+plus】

最新の経済情報や日々のくらしに役立つ情報をお届けしている「FPトレンドウォッチ」。
「トレンド+plus」では、さらに一歩踏み込んだ情報をお届けします!

4%ルールとは?

以前、FIRE(ファイヤー)=Financial Independence,Retire Early、「経済的自立と早期リタイヤ」を果たす方法として米国で注目された「4%ルール」が日本でも話題になりました。

若くして事業に成功した人は、事業資産を売却して、必要な年間生活資金の25倍を貯めれば、年率4%の運用利回りで、保有資産を現状維持しながら生活を継続できるという考えです。これに従うと、年間の生活費が400万円の場合は、その25倍の1億円の資産を形成すればいいということになります。

FIREの条件は、①当初に金融資産を十分に積み上げられること、②運用利回り4%を継続的に確保できることになります。

日本で「4%ルール」は適用できるのか

でも、この話を日本で鵜呑みにするには落とし穴があります。

それは、日本のインフレが考慮されていない点です。例えば、今の生活費が400万円でも、3%で物価上昇すれば来年は412万円、再来年424万円と増えていきます。ならば、運用利回りが今年4%でも、来年4.12%、再来年4.24%と上昇していかなくては生活コストの維持はできません。

FIREでは、「保有資産の維持ができる」ことを謳いますが、この維持は「保有資産の実質価値」になります。資産が1億円であれば、物価上昇率が3%の場合は年間300万円も価値が減価します。4%の運用利回りがさらに+3%大きくないと、保有資産の実質価値は維持できません。

つまり、この4%はよく見ると、名目4%ではなく、実質利回り4%なのです。物価上昇率が3%ならば、それに4%を加えて7%という理屈です。実質4%・名目7%の運用利回りはかなりハードルが高いです。つまり、米国から輸入されたFIREなる概念は日本ではほぼ成り立ちません。

物価上昇時代の資産運用

日本では、実質利回りが1~2%でさえ成り立ちにくいのが実情です。例えば、日本取引所グループのプライム市場の平均配当利回りは約2%(2026年1月)となっています。物価上昇率が3%ですから、日本株でも実質1%程度のマイナスです。

では、実質2~3%=名目5~6%の運用成績を上げている運用対象はないのでしょうか。AIにそれを質問すると、世界株式インデックスという答えが返ってきます。ただし、為替リスクと株価変動リスクを負うので、3千万~5千万円もの元本を海外株式に投じるのもかなりリスキーだと考えた方がよさそうです。

それでは、発想を変えて日本株の表面利回り2%ではいけないのでしょうか。物価が3%だから割り負けていますが、預金利息よりも負け方は少ないです。退職金が平均2,000万円だとすると、これを2%の配当利回りで運用すると年間40万円になります。年間生活費400万円が、年間+12万円程度増えていくとしても、配当40万円を切り崩すことで負担増の部分が数年間はカバーできます。今の日本は、資産運用の実質利回りがマイナスなので、ほぼすべての家計がそれに割り負けています。だから、実際の運用は、割り負け方をどう小幅にするかという工夫をしているのが実情です。

記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。

ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • いいね数
  • コメント数