FPトレンドウォッチ
2026.01.21
パフォーマンスから見る世界株式と日本株式【トレンド+plus】
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公開:2026.01.09
これまでは「インフレ率に割り負けない資産運用をどうすればよいのでしょうか?」と問われれば、選択肢として(1)ドル建て国債、(2)高配当国内株式、(3)全世界株式投信、などがあげられる傾向にありました。
ただし、いずれも投資元本を価格変動・為替リスクにさらす点で、ためらう人も多かったと思われます。
それでは、なんとか円資産で、かつ元本保証があって、比較的高利回りの金融商品はないものでしょうか。
そこで注目されつつあるのが、日本の長期国債です。
新聞やネットニュースで「長期金利が2.0%を超えた」と報じられているのを見聞きした方もいるでしょう。過去4年の長期金利の推移は図表のとおり概ね右肩上がりとなっています。2026年は、2%よりもさらに長期金利の利率は上がっていく可能性があるという見立てもあります。
個人で購入する国債といえば個人向け国債というイメージをもつ方もいるかもしれませんが、利付国債(りつきこくさい)と呼ばれる商品も購入可能です。利付国債には、2年、5年満期のものに加え、10年満期のものもあり、いずれも最低5万円から5万円単位で購入できます。
10年ものの場合、その表面利率は、長期金利そのものとなります。仮に表面利率が2.1%であるのならば、20.315%の源泉分離課税がかかり、税引き後は1.673%になります。運用元本が1,000万円の場合は年間16.7万円の利子収入が得られると計算できます。
現在の物価上昇率が3%だとすると、この1.673%はまだ物価上昇率に割り負けています。だから、インフレ・リスクに十分に対応できていないという見方もできます。
しかし、生活費の中のインフレ負担を厳密に考えると、別の考え方もできます。結論から言うと、インフレによる生活費の負担増に対応する方法として、日本国債の運用でも何とかできそうだと展望が開けてきます。
まず、インフレ負担を調べてみましょう。総務省「家計調査」(2人以上世帯)では、1カ月間の消費支出は30万円(2024年)とされます。ここに3%の物価上昇率をかけると、月9千円の負担増になります。年間では10.8万円です。この負担増を長期国債で賄おうとすれば、先にみたように、元本1,000万円の運用で年間16.7万円の利子収入のため、インフレ負担をカバーできる長期国債の運用額は約645万円となる計算になります(10.8万円÷0.01673=645.5万円)。
これは、年間消費額360万円に対して物価上昇率3%がかかりますが、長期金利の利回り(税引き後1.673%)が低い分だけ、運用元本を増やすことで実額の負担をカバーできるというものです。この説明を式にまとめると、360万円(年間消費支出)×3%(物価上昇率)÷1.673%(税引き後表面利率)=約645万円となります。
運用利回りが、インフレ率に割り負けている分、運用元本を増やせば、インフレ負担を賄えるというわけです。
もちろん、インフレが進むと元本は減価していきますのでインフレに負けないようにするためにはその点も考慮する必要があります。
ポイントとなるのは、長期国債が株式や外貨とは違って、元本が安定している点です。もしも、外貨運用の利回りが1.673%だったとき、「運用元本を膨らませてもよいか?」と問われれば、答えはNoです。利回りが低い分だけ運用元本を増やせば、そこで為替リスクを負う量も増えてしまいます。株式でも360万円の運用をするのと、645万円の運用をするのではリスクが違ってきます。一方長期国債は、元本が固定されているために、運用元本を安心して増やすことができるのです。
言うまでもない点ですが、長期国債は、10年間の満期(償還期間)までに解約(途中換金)すると、そこで元本割れする可能性があるため、価格変動リスクがあります。それも踏まえて、基本的には株式と同様に、余裕資金で10年間ほど寝かせるつもりで運用するのがよいと思います。万一、不測の事態で手元資金がどうしても必要になれば、長期国債を担保に金融機関から資金を借りることもできます。
インフレ対策として、利付国債という選択肢も浮上していることに注目したいと思います。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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