公開:2025.12.15

施行から1年、今さら聞けない「フリーランス新法」を解説(上)

フリーランス新法の概要

フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスで働く方の取引適正化と労働環境整備を目的とした法律です。従業員を使用せず、企業や組織に所属していないフリーランス事業者と、フリーランス事業者に業務を委託する業務委託事業者との取り引きを対象としています。

図 フリーランス新法の適用対象

出所:中小企業庁「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」リーフレット

同法では、口約束による契約トラブルを防ぐため、すべての業務委託事業者に対して、業務を委託するフリーランス事業者に取引条件を書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で明示することが義務付けられました。

さらに、業務委託事業者はフリーランス事業者に対して、業務完了から60日以内のできるだけ短い期間に報酬を支払うことや、継続的な業務委託を中途解除する際の事前予告などの義務が課せられました。加えて、フリーランスに対して1カ月以上の業務を委託した場合、一方的な都合による報酬の減額や物品・成果物の受領拒否、買いたたきなどの行為も禁止されています。

法律に違反した場合の罰則規定

同法に違反する取引が行われた場合、行政機関は違反の疑いがある発注事業者に対して調査を行い、問題が認められれば必要な指導・助言や是正の勧告・命令を下します。

また、違反行為に対しては50万円以下の罰金が科される可能性があり、場合によっては企業名の公表といった措置もありえるため、注意が必要です。

2025年には大手出版社などが公正取引委員会から勧告を受けており、法律の実効性を示す具体的な動きも出ています。

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