FPトレンドウォッチ
2025.10.03
もしもの時に備えて考えたい「民事信託」(上)

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公開:2025.08.20
2025年8月現在、今のところ、米国株の上昇ペースが総じて見ると、高くなっています(図表1)。
米国株と言うと、代表的なのがダウ指数、ナスダック指数、S&P500指数の3つで「3指数」と呼ばれています。
ダウ指数は、その構成が30銘柄と少なく、分散度合いから言うとやや問題がありますが、長く使用されていることが利点とされています。銘柄の構成は30種中12銘柄が製造業と多く、ナスダック指数のようなハイテク銘柄が相対的に少ないという特徴もあります。
3指数はほぼ同じ値動きをしていますが、ダウ指数については少し鈍い動きです。一方、ナスダックとS&P500は大きく上昇しています。ナスダックはハイテク中心で、ソフトウェアや半導体といった米国経済の強みを反映しています。S&P500は、米国の大型銘柄を集めて分散効果がより高い株価インデックスです。
ハイテク株の動向だけを知りたいということであれば、フィラデルフィア半導体指数(以下、SOX指数)という株価指標に注目することができます。この指数は、半導体に関連する銘柄30種類を集めて、米国のフィラデルフィア証券取引所が作成・発表しています。この30銘柄の中には、エヌビディアやインテルなど米企業のほかに、台湾のTSMC、オランダのASLMといった米国以外の銘柄も含まれています。株価上昇の牽引役が半導体なので、このSOX指数に注意しておくことも、米株価動向を占う上では重要だと思います(図表2)。
2024年前半に日経平均株価が急上昇したときは、このSOX指数が大幅に上がったので、「日本株は半導体株に連動しやすい」と言われていました。
最近はこのナスダックやS&P500があまりに好調に上昇するため、多くの投資家が高所恐怖症のような心理に悩まされています。そこの見方は、非常にわかりにくくなっているのが実情です。
目先の株価については、米金融政策に注目が集まっています。中央銀行のFRB(連邦準備制度理事会)が2025年9月にも1~2回分の利下げをするだろうという期待感から、米株価が押し上げられるという予想があります。
反面、不安を抱く人たちは、FRBが利下げをすれば米国経済の過剰流動性がさらに強まって、将来の株価下落の幅をかえって大きくするのではないかと警戒しています。トランプ大統領が株価上昇をどこまでも演出しようとしても、どこかで限界がくるだろうという見方です。
この点については、よく言われる格言の通り、「もうはまだなり、まだはもうなり」だと思います。
思考実験として、いつ株価の過大評価が調整されるかを具体的に考えると、それはFRBがインフレを警戒して利下げができないというメッセージを発したときでしょう。今は、トランプ政権から強い利下げ圧力を受けて、利下げに動く流れにあります。だからこそ、それが大きく裏切られる場面には警戒が必要だと思います。
今後の米株価の注目ポイントは、①米ハイテク企業の四半期決算がずっと好調を続けられるかどうか、②FRBの利下げがどこで限界に突き当たるのか、という2点だと考えられます。FRB議長の人事にトランプ大統領が介入するというイベントは、利下げを後押しているように見えますが、誰がFRB議長を担ってもインフレが加速し始めれば、利下げには動けなくなります。米国株価にとって下落リスクを生じさせるFRBのインフレ警戒のシグナルには注意をしておく必要があるでしょう。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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