公開:2025.08.07

増え続ける「空き家」対策のポイントとは?

問題視される「その他の空き家」の増加

従来、地方で問題視されてきた「空き家問題」。近年は都市部でも深刻化し、注目を集めています。少子高齢化、人口減少の影響を受け空き家は増加傾向にあり、空き家対策は全国的な課題となっています。

2023年に総務省が公表した「住宅・土地統計調査」によると、空き家の種類は次の4種類に分類されています。

図表 空き家の種類

空き家の種類内容
賃貸用の空き家賃貸物件として市場に出ているが、入居者が決まっていない空き家
売却用の空き家売却のために市場に出されているが、買い手がついていない空き家
二次的住宅(別荘・その他)別荘やセカンドハウスなどで、普段は人が住んでいない住宅
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家上記以外の空き家。長期不在、建物の取り壊し予定がある住宅など(空き家の種類の判断が困難な住宅を含む)
出所:「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)を基に日本FP協会作成

なかでも問題視されているのは、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」です。適切な管理がなされていないケースが多く、倒壊のリスクや治安悪化の要因となる場合があるからです。総務省統計局の「令和5年住宅・土地調査結果」によると、2023年の「その他の空き家」の数は約385万戸と、2018年の約349万戸から10%ほど増加しています。さらに国土交通省の推計では、「その他の空き家」は2025年に420万戸、2030年には470万戸に達すると予測されており、抜本的な対策が求められています。

自宅が空き家になる前に抑えておくべきポイント

空き家になってしまう理由は実家の相続に関わることが多く、特に資産価値が低い場合に放置されがちです。従来は倒壊の恐れがある「特定空家等」1でない限り、固定資産税の優遇措置がありました。しかし、2023年に「空家等対策特別措置法」が改正され、「管理不全空家等」※2に認定されると「特定空家等」と同様に固定資産税の優遇措置が受けられなくなりました。

*1特定空家等:そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等のこと

*2管理不全空家等:空き家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項において、適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれの状態にある空家等のこと

世代交代を機に空き家が発生してしまう前に、どのように処分・管理するのか、親子間での話し合いが重要です。しばらくは空き家のまま維持・管理するのか、リフォームして賃貸に出すのか、もしくは売却するのか……選択肢によってかかるコストはさまざまです。将来的に空き家となることが予想される家をどうするのか?親の意向も聞きつつ、最適な手段を検討しましょう。

空き家問題への対策として、行政でも数々の支援策を講じています。例えば、空き家の解体・リフォーム費用の一部を補助する制度や、適切に管理された空き家に対しては固定資産税の軽減措置が適用されます。

また、空き家の所有者と利用者をマッチングさせる「空き家バンク」の活用も進んでいます。他にも移住希望者向けに空き家を貸し出す取り組みに注力する自治体など、多様な取り組みが見られますので、国や自治体の空き家対策の支援制度をチェックしておくとよいでしょう。

あわせて読みたい

関連タグ

ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • いいね数
  • コメント数