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公開:2025.07.23
更新:2025.10.16
金融の世界では、ヘッジという言葉があります。
ヘッジのイメージをつかむために、保険に例えて考えてみましょう。一定の保険料を定期的に支払って、何か事故が起こったならば、保険金を受け取って損失補填ができます。仮に、事故に遭わずにすめば、保険金は掛け捨てになるでしょう。掛け捨ての金額は、安心料を支払ったと納得するしかないと考えられます。ヘッジの原理も、これと似ています。
今、円安によって輸入物価が上がり、消費者物価が上がったとしましょう。円安が原因でインフレになっている状況です。こうした性格のインフレに対してヘッジを考えるのならば、高くなる資産=ドル資産を持つという方法があります。インフレになっても、同時にドル資産に含み益が生じれば、デメリットとメリットが相殺されることになります。ドル資産には、そこで高い利回りも付きます。例えば、米長期国債を保有すると、年4.5%(執筆時点)の利息収入が得られます。運用元本が300万円だと、年間の利息は税引き後約10.8万円になります。
自分の年間消費支出が400万円で3%の物価上昇が起こっているときは、インフレ・コストは年間12万円になります。上記のようにドル資産で運用をした場合は、コストの90%はカバーできている計算になります。
一方、ドル資産の運用で気になるのは、為替変動リスクでしょう。為替が円高になったときは、ドル資産は含み損を抱えるリスクがあります。ただし、円高のときは輸入物価が下がっていますから、インフレ・コストは小さくなる場合があります。為替が円高になると、ヘッジのための外貨資産には含み損が生じますが、そのときは物価上昇も収まる可能性があるのです。繰り返しになりますが、為替リスクは物価上昇の鎮静化でリバランス(痛み分け)される格好です。
逆に、運用開始から円安になったときはどうでしょうか。円安の時は円高になった時と反対に、輸入物価が上がってしまうのでインフレ・コストが大きくなる場合があり、ドル運用の利息収入ではカバーができなくなる可能性があります。その代わりに、ドル運用の元本には含み益が生じます。つまり、ここでもリバランス作用が働くのです。
ドル資産で運用をすることは、円安によって輸入物価が上昇するタイプのインフレ・コストをヘッジできるといえます。
運用資産に外貨を組み込むことは、このようにリスク・ヘッジ機能を持ちます。インフレ・コストをヘッジする代わりに、運用リスクを負いますが、そのリスクはコストの低下と痛み分けになるということを理解しておくとよいでしょう。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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