公開:2025.07.22

リタイアまでにやっておきたい資産棚卸し~50代から始める老後準備(上)

50代になったら考えたい資産の棚卸し

老後資金の確保、社会とのつながり維持などの理由から、60歳を過ぎても働き続ける人の割合は上昇傾向にあります。内閣府の「令和2年版高齢社会白書」によると、60歳以上の男女で収入のある仕事をしている人の割合は37.3%に上り、2016年の同書公表結果である32.9%から4ポイント以上上昇しています。

人生100年時代とはいえ、いつまでも現役時代と同じペースで働けるわけではありません。老後の資金に困らず生活していくには、現役時代からの準備が不可欠です。そこで50代になったら取り組みたいのが、資産の棚卸しです。現時点で自分にはどれくらいの資産があり、住宅ローンなどの負債がどれほど残っているのかを考えることは、これからの人生設計で非常に重要です。

50代であればまだ体力や気力に比較的余裕があり、定年までの時間も残されています。子どもが独立したり手がかからなくなったりして、自分のことを考えるゆとりがある人も多いかと思われます。このタイミングで棚卸しを始めれば、老後資金に不安があっても早めに対策することが可能です。

資産の棚卸しの第一歩は家計のバランスシートづくり

老後の生活で重要なのは、身の丈に合った生活を送ることです。引退後は貯蓄や年金で無理なく暮らしていけるよう、徐々に家計をダウンサイジングする必要があります。まずは家計のバランスシートを作り、資産の棚卸しをしてみましょう。

まず、現金や預金、保険、株式、債券などの金融資産と、土地や持ち家、自動車、貴金属などの固定資産を整理します。合わせて住宅ローンや教育ローン、カードローンなどの負債も整理し、それぞれ書き出します。最後に、資産から負債を引いた額を純資産として算出します(図表)。

図表 家計のバランスシートの一例

資産負債
現金30万円住宅ローン2,000万円
普通預金200万円自動車ローン100万円
定期預金500万円カードローン50万円
貯蓄型保険70万円教育ローン50万円
不動産(自宅等)3,000万円その他0円
自動車200万円負債合計(B)2,200万円
その他0円
資産合計(A)4,000万円
資産合計(A)-負債合計(B)=純資産
4,000万円-2,200万円=1,800万円
出所:日本FP協会作成

ここでは「資産」と「負債」、そして「純資産(資産-負債)」を正しく把握しておくことが必要です。資産よりも負債の額が大きくなれば、債務超過状態なので抜本的な家計の見直しが必要です。

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