FPトレンドウォッチ
2025.10.31
最低賃金が過去最高の1,121円に。その影響は?
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公開:2025.09.10
更新:2025.10.15
かつて、BRICs投資が大きく話題をさらった時期がありました。最初に「BRICs」という言葉をつくったのは、ゴールドマン・サックスのエコノミストであったジム・オニール氏です。現在は南アフリカ共和国やエジプトなどを含む10カ国体制となっている「BRICS」ですが、当初はブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の総称として「BRICs」が用いられ、高成長が見込まれる4つの新興国向けの投資が有望という文脈で登場しました。ただ、これは2001年と昔の話で、ゴールドマン・サックス自身も2015年にBRICsファンドを終了させています。
元祖「BRICs」とも呼べる4カ国の現状を見てみると、中国(C)は不動産不況に苦しみ、ロシア(R)はウクライナと戦争中。インド(I)、ブラジル(B)は、米国のトランプ大統領から他国よりも厳しい高関税をかけられています。そんな状況もあり、懐かしのあの人は?のような感覚で、「ところで、BRICs投資ってどうなったの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
そこで、2024年1月から2025年8月の株価の推移をみてみましょう(図表)。
結論から言えば、日本株に比べてもそれほど上昇しているとは言えません。
特に、ブラジルはほぼ横ばいです。これは通貨レアルの下落、政情不安、資源価格の低迷が主な要因と考えられます。どこを基準にするかにも左右されるため、もっと期間を長く取れば、違った推移になることもあります。
ロシアも2022年のウクライナ戦争で下がって以来、低調な推移です。インドは日経平均株価とそれほど変わりません。
2000年代は、新興国の成長率が高く、BRICs株は日本株を上回ることが多かったのですが、この5年程度はそうとも言えません。BRICs株は、総じて資源価格の影響を受けやすく、近年の株価はハイテク需要の高まりで、イノベーションの時代に移っていると言えます。GDPでみた成長率が高いから新興国株の上昇率も高いという連想は必ずしも成り立たなくなったのかもしれません。
念頭に置いておきたいのは、株式の投資にも時期によってブームがあるということです。最近は、新興国に限らず、全世界の株式を対象とした分散投資をする方が多い傾向にあります。世界中の株式に投資をしているので、分散効果が働き、かつ特定の地域ではなく世界経済の成長を取り込みたいというトレンドがあるようです。
BRICs投資も、以前のチャートをみれば、過去はずっと右肩上がりだった時期があります。BRICsの株価指数が示すのは、過去のトレンドが必ずしも続かなかったという教訓でしょう。未来の不可知性というリスクは常につきまといます。
記事の内容は、取材先や執筆者等の見解を示したものであり、日本FP協会の意見・方針等を示すものではありません。
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