公開:2026.04.07

【介護・施設】対象者が広い有料老人ホーム。 グループホームは認知症の人が対象(畠中雅子氏)

チャット風吹き出し最終決定版(中央寄せ修正版)

ベテランFPや経済の専門家が、FPに関わるさまざまなテーマやトピックスについて、全6回にわたり解説します。

畠中雅子氏

「介護・施設」の第5回目は、「有料老人ホーム(介護付き・住宅型)」と「グループホーム」について解説します。

<介護付き>は介護費が定額、<住宅型>は利用に応じて

有料老人ホームには、<介護付き><住宅型>があります。一般的に要介護度を問われないため、要介護度が低いものの在宅での介護が難しい人、施設での介護を望む人も入居できます。

「介護付き有料老人ホーム」は、自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。特定施設入居者生活介護とは、介護保険法に基づき、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことです。老人福祉法に加え、提供する介護サービスの内容や人員配置・設備について、介護保険法に基づく規制を受けます。

居室は原則個室で、施設スタッフによる24時間365日の介護が受けられます。人員配置基準は3対1が基本です。要介護者3人に対し、看護・介護職員が1人という意味です。

介護費は包括報酬という仕組みで、要介護度別に1日当たりの報酬算定が決まっています。要介護度が同じ人なら、どのような介護を受けても介護費は同じ額です(ただし所得によって自己負担は1~3割負担)。また人員配置基準を2.5対1、2対1などとして手厚い介護を提供する例もあり、そうした施設では「上乗せ介護費」がかかる場合があります。

一方、「住宅型有料老人ホーム」は、特定施設の指定を受けていない有料老人ホームです。人員基準は介護サービスの安定的な提供に支障がない職員体制とすること、とされています。施設スタッフによる介護はなく、外部サービスによる介護を利用します。介護事業者が建物の中に入っていたり、すぐ近くにあったりすることが多く、介護付き有料老人ホームとそれほど変わらない介護サービスを受けられると考えていいでしょう。入居する方にとっては、あまりその差を感じることはないかもしれません。

介護費は利用したサービスに応じた金額を負担します。介護保険サービスには上限があり、それを超えるサービスを受けると超過分が全額自己負担になります。在宅介護では食事関連に介護保険サービスを多く利用しがちですが、施設では食事に関して介護保険サービスを利用しなくて済み、身体介護に多く回すことができるメリットがあります。

自立の人は別途負担あり。夫婦入居は別室がいい

なお、介護付き住宅型とも、ほかの入居者への迷惑行為や異常行動などがなければ認知症の方でも入居可能な施設が多いようです。医療措置は施設により可能な範囲が異なりますので、しっかり確認する必要があります。看取りが可能かどうかも施設によって異なりますので、実績も含めて話を聞いてみることが重要です。

施設によっては要支援や要介護の認定を受けていない人でも入居できますが、「自立支援費」がかかる場合があります。介護サービスを利用しないため、施設が得られる金額が減ってしまうからです。金額は施設によって異なりますが、1日3,000円程度の例もあります。「すべて自分でできるのに、なぜ費用が上乗せになるのか」という不満が生じがちですし、要介護1~2程度の人より負担が大きくなりますから、要支援未満の人の入居はおすすめできません。

私が相談をお受けした方の中には、ご夫婦での入居を希望される方も少なくありませんが、その場合は夫婦同室でなく、別室にすることをおすすめしています。介護が必要な方には、介護スタッフが頻繁に居室に出入りするのが普通です。夫が要介護、妻は自立といった場合、自立されている方は落ち着かない、夜間もゆっくり休めないなどの困難が生じるからです。

入居一時金の払い方や別途費用に注意

有料老人ホームは設備がシンプルな施設から、共有施設が充実している豪華な施設など、さまざまです。入居一時金の金額は施設により異なり、なかには数千万円の例もあります。

入居一時金は家賃の前払いという性質のもので、一時金を払わず、毎月の月額費用に上乗せして支払うことも可能です。施設ごとに一時金の償却期間が決まっており、例えば10年で償却する施設なら10年分の家賃を前払いするという意味です。その場合、11年目からは実質的に家賃はかからないことになり、10年を超えて居住すれば一時金を払ったほうが有利になりますし、短期で退去する場合は一時金なしのほうが支払総額を抑えられる可能性があります。したがって、一時金として支払うか、月額費用に上乗せして払うかは年齢などから検討するとよいでしょう。

月額費用には家賃、共益費、基本サービス費、食費、水道光熱費が含まれ、介護付きは介護費用も施設に支払います。住宅型は原則として、介護費用は居宅介護支援事業所に支払いますが、まとめて請求されるケースもあります。なお、介護付き住宅型とも、医療サービスの自己負担分は別です。また月額費用の中に何が含まれるか、別途どんな費用がかかるかは施設によって異なる場合があります。オムツ代や居室の掃除代、居室の電球の交換費用などは含まれているか、シャトルバスがある場合、有料か無料かなども確認します。

介護付きでは、15万~80万円程度が目安で、国の調査によると平均は約26万円で、全体の34%が30万円以上となっています。

住宅型では月額費用は平均約12万円、全体の33%が10万円未満です(介護付き、住宅型とも、令和6年度老健事業「高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」より)。地域によっても異なり、首都圏では20万~25万円が目安になりそうです。地域差が大きく、都市部では高めなケースがありますが、地方では特別養護老人ホーム(特養)と変わらない施設も少なくありません。特に資産や収入が多く補足給付が受けられない場合は、有料老人ホームも選択肢に入れるといいでしょう。

立地は重要ではない? 生活水準に合った施設を選ぶ

金額を左右する要素には要介護度や人員配置基準もありますが、最も大きく影響するのは立地、ほかに共用施設、設備です。住み慣れた地域の施設を希望される方が多いですが、自分の足で外出できなくなったら、離れた地域であっても支障がないかもしれません。エリアを広げることで予算や希望に合った施設が見つけられる可能性もあります。

相談者の中には、「ずっと倹約して、まとまった老後資金を築いたから高級な施設に入居したい」と話される方、逆に「入居を急いだら安価な施設しかなかった」という方もいらっしゃいます。しかし、入居されている方と生活水準が合わないと、話が合わず、居心地の悪さを感じることも少なくありません。「イベントというとオペラ鑑賞など、一回の参加で数万円かかり驚いた」という声や、反対に「服を新調しただけで嫌味を言われて気を遣う」などの不満の声も聞きます。高齢者施設は「暮らしの場」ですから、生活水準に合ったところを選ぶことが大切だと思います。

認知症ならグループホームも選択肢

認知症の方のみが入居できるのが、「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」です。要支援2以上の認知症の高齢者を対象に、市区町村指定の事業者が地域住民に提供する地域密着型のサービスです。

1ユニット5~9人を1つの単位として、食事、入浴、排泄などの介護サービスが提供されます。民家型、アパート型、ミニ施設型などの形態があり、1ユニットのみの施設や、複数のユニットで構成される施設もあります。認知症ケアの専門スタッフが常駐しており、人員配置義務は3対1以上です。家庭的な雰囲気の中での共同生活により、料理や掃除、洗濯、買い物など、入居者自身が家事を行うことで、失われかけた能力を引き出し、認知症の症状緩和を目指します。

入居金の目安は0~数十万円が目安です。月額費用はユニット数や要介護度などによって異なり、月額10万~30万円程度。20万円台が多いようです。

看取りは施設によって異なりますが、可能とされている場合でも、実際にどのような体制になっているかなど、施設にしっかり確認しましょう。

次回の【介護・施設】分野は、民間施設「介護施設の探し方と見学の仕方」について解説します。
アコーディオン目次

お話を伺った方

CFP®認定者

畠中 雅子 氏

家計、保険、教育費、住宅など、幅広い分野で新聞、雑誌、WEBなどに多数連載。セミナー講師や講演、相談業務も行う。2002年から高齢者施設の見学を開始。住み替えなどのアドバイスも行っている。ひきこもりの子どもを持つ家庭に向けた「働けない子どものお金を考える会」なども主宰。

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