公開:2025.12.16

施行から1年、今さら聞けない「フリーランス新法」を解説(下)

フリーランス・トラブル110番とは

「フリーランス・トラブル110番」は、厚生労働省から委託を受けて第二東京弁護士会が運営する無料の相談窓口です。フリーランス事業者が業務委託事業者との間で抱えるトラブルに対して、弁護士が直接相談に応じています。

具体的には報酬の未払いや一方的な契約解除、ハラスメント被害など、フリーランス新法のみならず、契約上のトラブル全般について相談できます。

当事者間での解決が難しい場合には、弁護士が中立的な立場で間に入り、話し合いによる解決を目指す「和解あっせん手続」についても無料で利用可能です。裁判とは異なり、時間や費用の負担が少ないうえに迅速な解決が期待できるため、フリーランス事業者にとって心強い存在となっています。

「報酬の支払い」や「契約条件の明示」での相談が多くを占める

フリーランス・トラブル110番には、2025年4月~8月にかけて12,013件の相談が寄せられています。

寄せられる相談内容で最も多いのが、報酬の不払いや一方的な減額、支払い遅延など「報酬の支払い」(29.2%)に関するものです。次に多いのが「契約条件の明示」に関する相談(18.2%)です。具体的には「契約書面の不交付」、「契約条件・業務内容が不明確」といった相談が寄せられています。

図 フリーランス・トラブル110番の相談内容

出所:厚生労働省ホームページ「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ『○令和7年9月』」資料

新法の施行から1年が経過し、業務委託事業者側の意識向上は見られるものの、まだ十分に浸透しているとは言えない状況です。フリーランス事業者側にも、契約内容の事前確認やトラブル発生時の相談といった、自らの権利を守るための行動が求められます。

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