FPトレンドウォッチ
2026.10.02
インバウンド回復の裏で進む「宿泊税」の導入と影響
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公開:2026.02.02
更新:2026.02.03
厚生労働省が2025年11月に公表した「第25回医療経済実態調査の分析」によると、調査対象になった914施設における2024年度の医業利益率は、▲7.3%まで低下しました。また、全体の66.2%が赤字であることも分かりました。
経営悪化の主な要因は、医療材料費や光熱費の高騰、そして人件費の上昇です。そこにコロナ関連などの補助金終了や診療報酬の特例措置廃止が重なり、経営をさらに圧迫しました。産婦人科や小児科など、少子化の影響を受けて採算確保が厳しい診療科についても、地域医療のために維持せざるを得ない構造も、赤字拡大の一因となっています。
経営悪化に加え経営者の高齢化の影響もあり、2024年には64件の医療機関が倒産、722件が休廃業・解散となり、それぞれ過去最多を更新しました。
また、民間病院を中心に構成される四病院団体協議会の調査結果によると、各病院の平均賃上げ率は2.5%程度でした。これは、2025年春闘の賃上げ率の加重平均である5.25%の半分の水準です。多くの病院が経営難で賃上げが進まず、人材流出やサービス低下を招き、さらに経営が悪化するという「負のスパイラル」に陥っていると見られます。
それに加え、志願者の減少等が原因で、全国の看護師を養成する学校の1割近くの課程が募集の停止に踏み切るという報道もあり、医療現場は人材確保の面でも厳しい状況にあります。
この「医療危機」は日本だけの問題ではありません。英国ではNHS(国民保健サービス)の予算削減に伴い、サービス質の低下や恒常的な人員不足、待ち時間の長さなどが深刻化しています。日本でいうかかりつけ医にあたるGPの受診ですらも数週間待ち、その後専門医を紹介された場合はさらに数か月待機するケースもあるといわれています。また、EU各国でも医師・看護師不足が報告されており、医療インフラの維持は、今や先進国共通の課題と言えるでしょう。
こうした危機的状況を受け、政府は2025年12月に「医療・介護等支援パッケージ」として約1.4兆円規模の緊急支援を決定しました。
| 項目 | 金額 | 概要・支援内容 |
|---|---|---|
| 医療機関・薬局における賃上げ・物価上昇に対する支援 | 5,341億円 | 医療機関・薬局における従事者の処遇改善と物価上昇の影響への支援を目的として、1床あたり8.4万円(救急車受入件数に応じ最大2億円加算)などの支援を実施 |
| 病床数の適正化に対する支援 | 3,490億円 | 医療需要の変化を踏まえた病床数の適正化を進める医療機関に対し、1床あたり約410万円等の財政支援を実施 |
| 福祉医療機構による優遇融資等の実施 | 804億円 | 医療機関等の資金繰りを支援するため、無利子・無担保等の優遇融資や、資本性劣後ローンの融資などを行う |
| 施設整備の促進に対する支援 | 462億円 | 建築資材高騰等により施設整備が困難な医療機関に対し、高騰分の補助などを実施 |
| 生産性向上に対する支援 | 200億円 | 業務効率化や職場環境改善に資するICT機器等の導入を行う病院に対し、必要経費を支援(1病院あたり最大8,000万円) |
| 出生数・患者数の減少等を踏まえた産科・小児科への支援 | 72億円 | 出生数減少等の影響を受ける施設に対し、分娩取扱維持のために1施設あたり580万円~、小児医療拠点施設の体制整備のために1床あたり約21万円~等を支援 |
特に賃上げ・物価高対策の補助金は、国から病院へ直接支給される仕組みとなっており、即効性のある支援として一定の評価を受けています。
これらは一時的な措置でもあるため、政府は2026年度以降、本格的な改革を進める方針です。2026年度の診療報酬改定や医師偏在の是正策が議論されており、これに先立ち2025年12月5日には「医療法等の一部を改正する法律」(改正医療法)が成立しました。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 地域医療構想等の見直し | ・2040年を見据え、外来・在宅・介護連携を含む構想への転換 ・病床削減・機能分化を進める医療機関への財政支援 ・オンライン診療の法整備 ・美容医療を行う医療機関への定期報告等の義務付け |
| 医師偏在の是正 | ・「医師確保区域」での手当支給(保険者拠出金を活用) ・「外来医師過多区域」での新規開業規制の強化(事前届出制等) |
| 医療DXの推進 | ・電子カルテ情報の共有・標準化(2030年末までに普及率100%目標) ・医療情報の二次利用(仮名化情報)の推進 |
しかし、これらの対策には課題も多く残されています。例えば、四病院団体協議会は診療報酬の10%超引き上げを求めていますが、現役世代の社会保険料負担軽減を目指す政府方針と逆行するため、大幅な引き上げは現実的ではない側面もあります。
また、オンライン診療の普及による医療サービスの質低下への懸念や、そもそも医師の絶対数が不足しているという指摘もあります。限られた財源でどのように医療体制を維持していくべきか、今後も議論は続くでしょう。
医療危機に関する対応策は、医療従事者の方だけに影響があるものではありません。私たちのライフプランにおいても、将来的な医療費負担や医療アクセスの変化を見据え、健康維持への投資や民間医療保険の活用など、自己防衛策の検討が重要になると言えるでしょう。
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