公開:2025.10.24

「お得」に惑わされないお金の使い方(下)

ECサイトで多用される販売戦略

実店舗同様、ECサイトでも顧客の購買意欲に働きかけるさまざまな販売戦略が取り入れられています。中でも多く見られるのは「テンション・リダクション効果」と「ウィンザー効果」です。

テンション・リダクション効果とは、大きな決断や緊張を伴う行動をした後は解放感から注意力が散漫になり、判断力が低下する心理現象です。新車を購入した後にカーナビやボディーコーティングなどを勧められるのは、この心理に基づく戦略です。また、ネットショッピングで商品を購入した時、商品に関連する別の商品やオプションサービスが表示されることがあるのも、この心理が応用されています。

ウィンザー効果とは、第三者からの情報の方が、当事者からの情報よりも信頼されやすいという心理効果のことです。ECサイトの商品ページに口コミやレビューが表示されるのは、この効果を利用して信頼性を高めることを狙っているからです。

図 テンション・リダクション効果、ウィンザー効果のイメージ

出所:日本FP協会作成

売り手の戦略を理解して賢い消費を心がける

他にも売り手は売上や利益を上げるために、消費者心理を活用したさまざまな販売戦略を駆使します。例えばセット販売やポイント還元などはよく用いられる手法の一つです。

これらは必ずしも悪いことではなく、消費者にもメリットはあります。しかしそうした戦略に乗せられて、さほど必要ではないものを買ったり、いくつもまとめ買いしたりして後悔した経験がある人は少なくないはずです。これらが積み重なると結果的に支出が膨れ上がり、お得とは程遠い状態になっては元も子もありません。

買い物をする上で念頭に置きたいのは、「買わない」「選ばない」という選択肢もある、ということです。賢くお金を使うには自分なりの判断基準を持ち、本当に必要なものを冷静に見極めることが重要です。

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