公開:2025.09.24

持ち家?賃貸?ライフスタイル別「住まいの選択」(下)

持ち家と賃貸の住居費をシミュレーション

前回は持ち家と賃貸、それぞれのメリットとデメリット、見落としがちな費用について説明しました。今回は、持ち家と賃貸それぞれにかかる費用を試算し、差額を比較した結果をお伝えします。

図表 持ち家と賃貸にかかる費用と差額のシミュレーション結果(一例)

【前提条件】

  • 持ち家、賃貸どちらも首都圏にある約70㎡のマンションを想定
  • 持ち家の場合は35歳で中古住宅を購入し、75歳まで住み続ける
  • 持ち家は物件価格約5,000万円、諸費用約350万円、頭金約500万円、借入額は約4,500万円(フラット35、元利均等返済、固定金利1.5%、35年返済)と想定
  • 賃貸の場合は35歳で物件を借り、60歳の時点で家賃の安い物件に住み替える
持ち家詳細計算式金額
住宅ローン総返済額5,787万円
管理費・修繕積立金月3万円3万円×12カ月×40年1,440万円
固定資産税・都市計画税年間18万円18万円×40年720万円
火災保険・地震保険料年間5万円5万円×40年200万円
合計8,147万円
賃貸詳細計算式金額
賃料月18万円(25年目以降は月12万円)18万円×12カ月×24年
+12万円×12カ月×16年
7,488万円
共益費月1万5,000円1万5,000円×12カ月×40年720万円
敷金・礼金賃料2カ月分×2回18万円×2+12万円×260万円
更新料2年に1回、賃料1カ月分18万円×12回+12万円×8回312万円
引っ越し費用1回30万円30万円
火災保険料2年に1回、2万円2万円×20回40万円
合計8,650万円
出所:日本FP協会作成
※試算結果は一例です。立地や広さ、築年数などによって実際の支払い額は大きく異なる場合があります。

住宅を購入した場合、一定の条件を満たせば住宅ローン控除が受けられますので、実際の負担額はさらに下がることが予想されます。また、将来の売却も視野に入れて購入を検討する場合、昨今問題視される人口減少や過疎化、それに伴う空き家問題なども考慮すべきでしょう。

外的要因だけに左右されない住まい選びを

2025年になって、全国的に不動産価格は上昇傾向です。国土交通省が2025年3月に発表した地価公示では、全国平均で前年比+2.7%(住宅地+2.1%、商業地+3.9%)。4年連続の上昇となりました。特に都市部では上昇率が大きくなっています。

持ち家か、賃貸かを選択する際には、住宅ローンの金利の動向も判断を左右します。住宅ローン金利が低いほど持ち家のコストメリットは高まるので、ライフイベントに合わせた住み替えと合わせて、不動産価格や住宅ローン金利の動向も押さえて検討しましょう。

もちろん住まい選びは単なる損得勘定だけでは決められません。家族それぞれの事情や生活において重視することなど、多様な価値観によって総合的に判断されるものです。住宅ローンの金利や家賃相場といった外的要因だけにとらわれるのではなく、「どのような暮らしを望むのか」という本質的な価値観を踏まえて住まいを選ぶのがよいでしょう。

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